ヘルスケア

2024.06.28 13:00

「BPAフリー」の哺乳瓶から大量のマイクロプラスチックが赤ちゃんに 不当表示で米2社提訴

SSokolov / Shutterstock.com

「BPA(ビスフェノールA)フリー」をうたう哺乳瓶は安全性をめぐり消費者を誤認させているとして、米国で大手メーカー2社に対する訴訟が起こされた。原告側によると、2社のポリプロピレン(PP)製哺乳瓶は温かいミルクなどを作ると有害なマイクロプラスチックがしみ出す。だが、製品ではポリプロピレン製と表示しておらず、親らが気づかないうちに乳児を危険にさらしていると非難している。

訴えられたのはオランダのフィリップスの北米法人フィリップス・ノースアメリカと、ベビー用品ブランド「ドクター・ブラウンズ・ベビー(Dr. Brown's Baby)」を手がける米ハンディクラフト・カンパニー。カリフォルニア州のクラークソン法律事務所が25日、原告の代理人としてそれぞれを相手取った別個の集団訴訟を提起した。

原告側は、2社は哺乳瓶や赤ちゃん用コップ(ストローマグ)の原料のポリプロピレンについて、加熱されると有害なマイクロプラスチックが飲み物や食べ物にしみ出す可能性があることを製品のラベルやパッケージに記載せず、消費者を欺いたとしている。

フィリップスドクター・ブラウンズ・ベビーはいずれも、自社の哺乳瓶がポリプロピレン製であることをウェブサイトでは明らかにしているが、製品ラベルやパッケージには記していない。

原告側は、マイクロプラスチックは乳幼児やそれ以降の年齢層の子どもが少量でもさらされると、消化器系や免疫系、生殖系、中枢神経系、循環器系に悪影響をおよぼすなど、重大な危険性があることを明らかにした複数の研究を引き合いに出している。

原告側は製品の「BPAフリー」という表示について、普通の消費者なら「この製品は、消費者がベビー用品の安全性について抱く最低限の期待以上に、有害なプラスチックが含まれないことが保証されている」と解釈するとし、消費者に誤った安心感を与えてさらに惑わせていると主張している。

BPAは主にプラスチック製品に用いられる化学物質。食べ物に溶け出すおそれがあることから、米食品医薬品局(FDA)は2012年に哺乳瓶や赤ちゃん用コップでの使用を禁じている

原告側は2社に対し、損害補填、懲罰的損害賠償、罰金を含む金銭的補償のほか、製品についてポリプロピレン製という表示か、ポリプロピレン以外の素材への変更、もしくは生産の打ち切りを求めている。

クラークソン法律事務所のパートナー、シリーン・クラークソンは「子どもと家族の利益を第一に考えていると主張している企業が、より多くのお金を稼ぐために、自社製品が赤ちゃんに与えかねない危険な影響を隠しているというのは、母親としてたいへん憂慮されることです」と声明で述べている。そのうえで「これらの企業は責任を負う必要があるし、親はこれらの製品の危険性について知らされる必要があります」としている。

フォーブスはフィリップスとドクター・ブラウンズ・ベビーにコメントを求めている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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