なお2020年の国勢調査によれば、日本国内で通勤・通学の際に自転車を利用している人は14.3%という結果でした。一方、統計情報を扱うstatistaのデータによれば、ドイツにおいて同様の割合は25%に上るといいますから、やはり自転車専用レーンに対するニーズも大きいと考えられます。
もちろん国内においても、「自転車を安全に利用したい」という思いを抱えている人は多いでしょう。歩行者や自転車、車やバイクと、速度域も強度も異なる交通主体がそれぞれ安心して通行できる環境整備が求められます。
「あの場所」での一時停止、何の意味が?
普段は当たり前に守っているルールでも、海外から見ると不合理に思えてしまうポイントは少なくないと考えられます。アメリカ合衆国から来日して4年になる男性は、次のような疑問を話してくれました。「日本は電車が便利だけど、そのぶん踏切のルールがよくないと思います。最初は一時停止のルールに驚きました。私の国ではせいぜい減速するくらいで、電車も来ていないのに停止する車なんていません。でも、日本ではみんなちゃんと停止しています。
流れが悪くなるのに、とても不思議です。だって、法律のことをいうなら、制限速度は誰も守っていないじゃないですか。流れのために制限速度は無視して、踏切はしっかり停止。なぜなんでしょう?」(20代男性・米国出身)
日本の道路交通法においては、踏切で遮断機が下りていない状態でも「一時停止」が義務づけられており、実際の現場でもこれを遵守している車両が多数派だと思われます。しかしアメリカ合衆国においては一時停止のルールはなく、停止しようものなら後続車からの追突される危険もあるとのこと。
ヨーロッパにおいても踏切での一時停止のルールは見られず、このルールを採用しているのは日本のほか韓国など少数派だとされています。
もともと踏切の一時停止は、「車が踏切に進入したあと、先が詰まっていることに気づいて線路内に取り残される」という状況を防ぐためのルールです。電車の運行本数や踏切の数が多い日本においてはとくに「万が一のケース」を防ぐ観点から定められている面もあるのでしょう。
ちなみに東京23区の踏切数は世界的に見てもかなり多く、国土交通省の資料によれば「パリの約90倍、ニューヨークの約13倍」もの数に上るとのこと。この数字を見て、「これだけ多いのだから、万が一のリスクに備えるべき」と考えるのか、「これだけ多いのにいちいち停止していたら、著しく流れが滞ってしまう」と考えるのか……議論が分かれるところかもしれません。