ヘルスケア

2024.06.29 15:00

欧州で野生イノシシから「法定許容量の5倍」の有害PFASが検出

ヨーロッパイノシシ(Valentin Panzirsch、CC BY-SA 3.0)

ヨーロッパイノシシ(Valentin Panzirsch、CC BY-SA 3.0)

欧州のイノシシ(学名:Sus scrofa)に、EU法で食用肉に許容されている量の5倍近い、有害なPFAS(有機フッ素化合物)が含まれていることが研究で明らかになった。このEUの規制は2023年に導入され、野菜、魚類、および肉類に含まれるPFASの濃度を監視している。狩猟肉も規制の対象であり、狩猟肉の内臓には最も高い濃度が許されている。

イノシシ肉の人気はEU内でも地域によって異なる。ドイツ、イタリア、およびフランスの人々が一般的に食べているほか、スペインや東欧の国々でも食べられている。

PFASは、ほぼ分解されないことから「永遠の化学物質」として知られている、1万2000種類以上の有機フッ素化合物の総称だ。住居、オフィス、衣服から食べ物にいたるまでほぼあらゆる場所に存在する。これらの人工の化学物質は極めて微量(濃度千兆分の1)でも有毒であり、がん、生殖能力問題、肝臓障害を含め人体の健康に重大なリスクをもたらす。

この最新研究は、チェコ共和国のボヘミアンフォレスト国立公園に住むイノシシを対象として実施された。ドイツ国境に接しバイエルンの森国立公園に近いその公園は、1963年以来保護区に指定されている。約400匹のイノシシの居住地であり、その個体数が毎年管理されていることから、研究者向けに肝臓の試料が提供されている。

イノシシ、特にその肝臓がこのPFAS研究の対象に選ばれたのは、環境におけるPFASのバックグラウンド濃度を表す優れた「生物指標(バイオインジケーター)」だからだ。これは、イノシシが食べ物を探して地面を掘り起こし、見つけたものは植物や動物、さらにはPFASの主要供給源である土壌まで、ほぼ何でも食べるためだ。
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翻訳=高橋信夫

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