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2024.07.01 09:00

EVの販売不振でリチウムが再び暴落、シティ銀行が指摘

輸出を待つ中国のEV(Shutterstock.com)

リチウム価格が今年初めの緩やかな回復後、再び急落している。これにより、供給過剰市場の再均衡を図るためにさらなる鉱山閉鎖が必要だとの警告が発せられている。

投資銀行シティによると、中国で販売されている炭酸リチウム(リチウムカーボネート)の価格は過去1カ月で15%下落。さらなる下落の可能性もあるという。

バッテリーに用いられる金属であるリチウムの過剰生産は、予想を下回る電気自動車(EV)の販売と重なり、EV業界全体で供給の過剰を引き起こしている。

2年前にトン当たり8万2000ドル(約1311万円)まで高騰した炭酸リチウムは、今年初めに84%急落して1万3000ドル(約208万円)/トンとなった。その後、4月に1万6000ドル(約256万円)/トンまで緩やかに回復したものの、再び急落し、今週初めの最新の取引では1万2000ドル(約192万円)/トンとなっている。

シティは、可視在庫が高水準にあり、最新の情報によると、在庫は年初から7万トン増加していると述べている。

「これらの高水準かつ上昇中の保存期間の短い化学物質の在庫により、リチウム価格は広州先物取引所(Guangzhou Futures Exchange)でさらに15〜20%下落して1万ドル(約160万円)/トンになるだろう」とシティは述べている。

リチウム価格の新たな下落を受けて、世界最大のリチウム生産企業の1つが、現在の低価格ではリチウム生産への新規投資には踏み切れないとの警告を発した。

懸念すべき価格水準

ブルームバーグ・ニュース・サービスの報道によると、アルベマールのエネルギー貯蔵部門社長であるエリック・ノリスは、ラスベガスでの会議で、リチウムの価格は「懸念すべき」であり、投資家はこの市場水準ではリチウム施設に投資すべきではないと述べた。

シティは6月25日付の調査報告書で、リチウムの在庫が急激なペースで増加していると述べたが、低価格は最終的に鉱山や転換工場の閉鎖、さらには業界の合理化につながり、「私たちがモデル化した極めて大きな余剰を緩和するだろう」としている。

シティが作成した需給モデルは、今年の炭酸リチウムの余剰が8万4000トンに達し、来年には10万トンに増加すると予測している。

同行によると、過去12カ月間で需要成長率は2023年の年間28%から今年は14%に減速し、消費量の7%に相当する余剰を市場に残している。

「インフレ、高金利、航続距離不安、充電インフラの不足、限られた製品選択肢が、特に米国と欧州で世界のEV販売予測を抑制している」とシティは述べている。

EVの格下げ

「当社のグローバル自動車チームは、過去6〜9カ月の間にEV普及予測を2回下方修正した。EV期待値の再設定がリチウムの需給バランスに顕著な影響を与えている」

シティによるリチウムの需要と価格に関する暗い見方は、オーストラリア最大のリチウム採掘企業の1つであるピルバラ・ミネラルズが楽観的なプロジェクト拡大計画を先週発表した後に行われた。ピルバラは、市場環境が好転した際に生産量を2倍以上に増やす計画だという。

ピルバラの株価はシティの発表後、10豪セント下落して3.10豪ドルとなった。モルガン・スタンレーとUBSは顧客に対し、株価がさらに下落する可能性があると伝えている。モルガン・スタンレーはピルバラの目標株価を2.75豪ドルとしている。UBSは2.70豪ドルとしており、これは昨年8月に記録した12カ月ピークの5.40豪ドルから50%下落している。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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