宇宙

2024.06.28 18:30

ハッブル宇宙望遠鏡が「復活」し観測再開 驚嘆の最新銀河画像

かじき座の方向約5000万光年の距離にある「羊毛状」渦巻銀河NGC 1546を捉えたハッブル宇宙望遠鏡の最新画像(NASA, ESA, STScI, David Thilker (JHU), Joseph DePasquale (STScI))

かじき座の方向約5000万光年の距離にある「羊毛状」渦巻銀河NGC 1546を捉えたハッブル宇宙望遠鏡の最新画像(NASA, ESA, STScI, David Thilker (JHU), Joseph DePasquale (STScI))

渦巻銀河「NGC 1546」を、とくとご覧あれ。見事だ。白い輝きを放つ中心部と優雅で幻想的な塵(固体微粒子)の帯を持つこの銀河の姿を鮮やかに捉えているのは、米航空宇宙局(NASA)が18日に公開したハッブル宇宙望遠鏡(HST)の最新画像だ。これは単なる美しい画像にとどまらない。ハッブル望遠鏡が、一連の厄介な不具合と運用方法の大幅な変更を経て、観測を再開した証拠なのだ。

ハッブルは、現在進行中のジャイロスコープ(姿勢制御装置)の問題に悩まされており、保護機構のセーフモードへの移行を何度も繰り返してきた。セーフモードで科学運用が中断される間に、地上の運用チームが問題の解決を試みることができる。ジャイロスコープは、ハッブルが観測のために正しい方向を向くのを支援する、極めて重要な部品の1つだ。老朽化が進むハッブルには、当初は6台のジャイロスコープが備わっていたが、現在動作するのは3台だけに減ってしまった。この3台のうちの1台は調子が悪いため、NASAは正しく動作するジャイロスコープ1台だけでハッブルを運用できるようにする計画を実行に移した。

今回のNGC 1546の画像は、お礼のメッセージのようでもあり、生存証明書のようなものでもある。NASAの解決策が有効なのがわかるわけだ。「この画像は、ハッブルが新しいポインティング(天体導入)モードに移行し、より一貫した科学運用を可能にしてから初めて収集した観測データの1つだ」と、NASAは説明している。「ハッブルがこの新しいモードで科学観測の大半を実施することで、宇宙の画期的な観測を継続できると、NASAのチームは期待している」。単一ジャイロによるポインティングモードに移行すれば、機能しているもう1つのジャイロを予備として温存できる。

NGC 1546には、顕著な特徴がいくつかあり、古い星と新しい星が混在している。銀河の中心が黄色がかっているのは、古い星が集まっていることを表している。明るい青色の点は、星形成領域を示している。左側をよく見ると、ハッブルに対して真横を向けた位置関係(エッジオン)にある別の銀河を見つけることができる。
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翻訳=河原稔

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