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バイオ

2024.07.02 16:45

生きた皮膚でロボットを包む技術を東大が開発

プレスリリースより

東京大学は、人工培養した皮膚、つまり生きた皮膚でロボットを覆う研究を行っているが、このほど、我々の皮膚とおなじように、ロボット本体と皮膚をしっかりつなぎ合わせる技術を開発した。生きた皮膚を持つロボットの研究には、たんに見た目が人間に近いロボットを作るためではなく、現実的なロボットの運用に役立つ重要な意味がある。

東京大学大学院情報理工学系研究科の竹内昌治教授らを中心とする研究チームは、生きた皮膚をもつ顔型ロボットを開発した。人間の顔は、皮膚とその下の筋肉とがぴったりくっついているので、細かい表情を作ることができる。研究チームは、ヒトの皮膚を皮下組織と密着させている皮膚支帯という網目状の繊維構造をヒントに、特別な「穴型アンカー構造」を考案し、顔面ロボットに皮膚を「スムーズに固定」することに成功した。それにより、ロボットは人間のように笑うことができる。

ではなぜ、ロボットを生きた皮膚で覆う必要があるのか。ロボットが社会で活動するようになると、人や物との接触から身を守る柔らかい外装が必要になる。だが、柔らかい外装は細かい傷を負いやすい。現在使われているシリコンゴムの外装では、細かい傷も放置しておくとどんどん大きくなり、損傷が激しくなる。そこで、ロボットを回収して修理する必要が生じるが、細かい傷を負うごとに修理していては、大変なコストがかかってしまう。そこで、自己修復能力がある生きた皮膚が有効に働くというわけだ。

研究チームは、2022年、世界で初めて生きた皮膚で覆われた指型のバイオハイブリッドロボットを開発し発表しているが、そこで使用された培養皮膚は、傷付いた部分にコラーゲンシートを貼り付けると、7日間ほどで修復されたということだ。

今後は、傷の修復だけでなく、発汗による排熱能力や感覚を持たせることも考えられる。またこの技術は、義手や義足への応用も期待されている。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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