欧州

2024.06.25 17:30

ウクライナ軍、クリミアの宇宙通信施設をATACMSで攻撃 衛星誘導にも利用か

高機動ロケット砲システム(HIMARS)から発射されるATACMS弾道ミサイルのイラスト図(Mike Mareen / Shutterstock.com)

GLONASSの衛星は、ロシア軍最強の航空弾薬である滑空爆弾、通称「KAB」の誘導にも利用されている。ロトスS衛星は、海上の艦艇などの軍事目標から発せられる電磁波を探知し、その位置を特定する。黒海西部からのロシア海軍艦艇の駆逐に寄与してきたウクライナの自爆型水上ドローン(無人艇)からの信号も傍受している可能性がある。
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もっとも、NIP-16は手ごわい目標だ。その無線アンテナや発電機、管制センターは2カ所の広大な敷地に点在する。また、主要なハードウェアであるパラボラアンテナは頑丈につくられている。ロシアの宇宙開発史に詳しいロシア人ジャーナリストのアナトリー・ザクの解説によれば、古い鉄道橋の一部や退役した潜水艦の艦体、廃棄された戦艦の回転機構などが再利用されたという。

ウクライナ側がNIP-16に深刻な損害を与えるには、攻撃をさらに加える必要があるかもしれない。補足しておけば、NIP-16を破壊してもロシアの衛星通信能力が完全に喪失されるわけではなく、一部が失われるだけだ。ロシアの宇宙通信施設は、NIP-16ほどウクライナの前線に近いものはないとはいえ、ほかの場所にもある。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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