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2024.07.01 13:30

国内初のボルボ女性トップ。変革者が挑むEVの普及

ある日上司から、私物の日本製PDA(個人用携帯情報端末)マニュアルの英訳を頼まれた。読みやすいよう工夫したら、「お客さん目線で書いている」と喜ばれた。それまで目の前の仕事をこなすだけだったが、仕事の向こうには人がいることを意識するようになった。

帰国後はおもに保険業界のシステム畑でキャリアを積む。アクサ生命保険では業界で初めて営業職員にタブレットをもたせ、電子サインを導入した。現場からの抵抗は強かったが、1〜2年かけて定着。功績を評価され、CTO(チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー)に就任した。

男性が多いデジタルの世界でリーダーになる女性はまだ珍しい。自らロールモデルになる意識があったのかと尋ねると、不動は首を振る。

「ジェンダーは意識していません。それよりもチェンジエージェントでありたい。私はまだ見えない未来を見るのが好きだから」

ボルボのトップに就任すると、真っ先に肩書を廃止し、プロジェクトベースの組織体制を強化した。フラットで柔軟な働き方が実現したことで社員はモチベーションを高めているという。

ボルボは全世界で販売する車両のEV比率を2030年までに100%にする方針を掲げている。不動は「日本は遅れていて、まだ12%。加速させるために変革を続けます」と意気込む。チェンジエージェントの本領を発揮するのはこれからだ。


ふどう・なおみ◎北海道出身。1991年米メアリービル大学卒業後、現地テック企業へ入社。帰国後、2010年アクサ生命保険、18年マニュライフ生命保険を経て21年ボルボ・カー・ジャパン入社。D&CX部門をけん引。23年8月より現職。

文=村上 敬 写真=苅部太郎

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年7月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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