インフルエンサーマーケティングとは、スポンサー企業が一手に広告を行うのではなく、消費者に身近な複数のインフルエンサーに商品情報などを発信をしてもらうことで高い宣伝効果を得ようというもの。だが、適切なインフルエンサーを探して契約するまでのマッチングが難しいなどの問題がある。そこにデジタルアバターの出番となる。地域創生を目指すソーシャルメディアマーケティング・ソリューションカンパニーのFunMake(ファンメイク)は、京都外国語大学と共同で、「観光地経営に生成AIによるデジタルアバターを活用したインフルエンサーマーケティングの調査研究」を開始した。
インフルエンサーマーケティングで重要なのは、消費者とのコミュニケーションだ。それが製品へのロイヤルティーを高めることにもなる。デジタルアバターも、「オンライン上で擬似的な人間関係の構築」が欠かせない。研究チームは、デジタルアバターと人間との差異、デジタルアバターの人間的な仕草とマーケティング効果の関連性を、構造方程式モデリングで解析するとしている。また、アイコンタクト、表情の変化、ジェスチャー、口調などの「人間的な動作」によってユーザーの関与度や信頼感がどう変化するかを探るという。
インフルエンサーには、コミュニティーで人気があり信頼されている人物が特定の商品を宣伝することで、友だちに勧められるような感覚で情報を受け入れやすいというメリットがあるが、「インフルエンサー特有のリスク」もあると研究チームは話す。CMタレントなどと違い、インフルエンサーは基本的に一般人なので、言動を完全に管理することは難しい。それに対して、デジタルアバターはスポンサーの意図を100パーセント反映し、コンプライアンスもきっちり守ってくれる。しかもAIなので多言語対応だ。この研究が進めば、何カ国語もペラペラ話せて魅力的で親近感があり絶対に問題を起こさない「完ぺき」なデジタルアバターが誕生することになるだろう。
とは言え、人間のインフルエンサーがAIに職を奪われることはないだろう。社会の生活者としての正直な意見も言ってくれるのが人間のインフルエンサーの面白いところであり信頼できる部分でもある。人間とデジタルアバターは役割が違うということだ。むしろ、この研究結果から学べば、逆に人間のインフルエンサーの能力を高められるのではないだろうか。
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