世界最大級の金融機関である米シティグループは今月、AIの導入によって最大の打撃を受けるのは銀行業界であり、54%の職務がAIに置き換わるおそれがあると結論づける報告書を公表した。一方、銀行業務の12%がAIによって補強される可能性があるという。
報告書は、AIを今後10年の「汎用技術(GPT)」と位置づけ、こう述べている。「GPTは経済全体を変革し、私たちの生活や働き方を変える可能性を秘めている。成長とイノベーションの新しい機会を創出し、多くの場面で私たちの生活の質を全般的に向上させる。また、既存のやり方を破壊することもある。ゆえに、特に短期的には、敗者をも生む」
銀行以外に雇用が奪われるリスクの高い業界として、報告書は保険(48%)、エネルギー(43%)、資本市場(40%)を挙げている。
シティによると、銀行・金融業界において自動化が果たす役割はますます大きくなり、業界内の変化の触媒となって市場シェア、雇用、顧客体験に影響を与えるとみられる。
シティのデービッド・グリフィス最高技術責任者(CTO)は、「各業界における生成AIの導入ペースと反響は驚異的だ。銀行業界に革命を起こし、収益性を向上させる可能性があることが明らかになってきている」と語った。
シティの推計では、世界の銀行部門の利益プールはAIの導入によって約1兆7000億ドル(約271兆円)から約2兆ドル(約319兆円)へと、9%(1700億ドル、約27兆円)増加するとみている。