米国最大のロボタクシーサービスであるウェイモ・ワンは、この3都市に500台以上のジャガー製電動SUVを改造した自動運転車両を配備している。同社の人工知能(AI)が制御する車両は、すぐに全米に普及するわけではないが、2024年はこのサービスの転換点だ。
ウェイモのロボタクシーは、15年の研究開発期間と80億ドル(約1兆2700億円)を超える投資、複数のパイロットプログラムを経て事業化され、3都市で週に5万回以上のライドを予約している。1回あたりの平均運賃を20ドル(約3100円)と仮定すると、年間収益は今年5000万ドル(約79億円)を超えるはずだ。また、4番目の都市となるテキサス州オースティンでの商用サービスが始まれば、今後の数年で年間数億ドルの収益を見込めるかもしれない。
「ウェイモは、ロボタクシーのゲームの真の勝者だ」と、資産運用会社ガーバー・カワサキのCEOでアルファベットの投資家であるロス・ガーバーは語った。「ウェイモの車両は装備が目立ちすぎて高価であり、スケールが難しいと思っていた。しかし、時間が経つにつれて、テクノロジーは大きく進化し、装備も数年以内により低価格でスケーラブルになるだろう」
責任ある事業拡大
ウェイモとアルファベットは、どちらもフォーブスに財務見通しを明かさなかったが、ウェイモの共同CEOであるテケドラ・マワカナは、慎重なペースで拡大を続ける意向を示している。「自動運転技術を商業化する道のりは困難と無縁ではありません。だからこそ、責任ある拡大へのコミットメントが非常に重要です」と彼女はフォーブスにEメールで語った。彼女の慎重さは理解できる。ウェイモのロボタクシーの収益が増加している一方で、米国の安全規制当局は同社の車両の異常な挙動に関する報告を調査している。先日は、フェニックスでロボタクシーが電柱に衝突したことを受け、ウェイモは全672台の車両に搭載したソフトウェアのリコールを発表した。しかし、同社のロボタクシーは、これまでのところ、負傷者や死者が出るような目立った事故は起こしていない。
これに対し、ゼネラル・モーターズ(GM)の傘下のクルーズが提供するロボタクシーは昨年、サンフランシスコで路上に倒れていた女性を引きずる事故を起こし、ウーバーの自動運転車両も、2018年にフェニックスで歩行者をはねて死亡させていた。
「一部の人々は、ウェイモの事業の立ち上げが競合よりも遅いと批判していたが、最近ではそれが賢明な判断だったことが明らかになっている」と、カーネギーメロン大学で自動運転車の安全性を研究するフィリップ・クープマンは語った