欧州

2024.06.21 11:30

5回撃たれたウクライナ兵、敵か味方かわらかぬドローンに救助求める 結果は?

米軍のM2ブラッドレー歩兵戦闘車。2024年5月、チェコ東部リババ(TLF / Shutterstock.com)

ウクライナ東部アウジーウカの廃墟の西方で最近あった小競り合いで、ウクライナ兵のドミトロは5回撃たれて負傷した。出血が続き、このままでは長くもたないと悟った。

そこでいちかばちか、近くを飛んでいたドローン(無人機)に合図を送った。ウクライナ側のドローンかロシア側のドローンかはわからなかったが、味方のドローンなら救難チームに至急連絡してくれるはずだ。それに賭けた。

賭けは成功した。ドミトロが所属するウクライナ軍第47独立機械化旅団はテレグラムのチャンネルで、彼の過酷な体験を動画と文章で紹介している。本人も登場する動画は、エストニアのアナリスト、War Translatedが英語の字幕をつけてX(旧ツイッター)で共有してくれている。

ドミトロの部隊は、アウジーウカの南西に位置するクラスノホリウカ近辺とみられる陣地を離れて移動していたところ、ロシア側の銃撃を受けた。「わたしは銃弾を5発浴び、戦闘の任に堪えなくなりました」とドミトロは振り返っている。

仲間の兵士たちがどうなったのかは不明だ。ドミトロはひとり、血を流しながら樹林帯まで這っていき、自分で応急処置をした。しかし包帯や止血帯は、避けられないことを少しばかり遅らせるだけだった。「必死でした。だから、奇跡が起きて、見つけてもらうことに望みをかけたんです」

ロシアがウクライナで拡大して2年4カ月たつ戦争のほかの戦場と同じように、ドミトロが死に向かいつつ横たわっていた場所の上空にもドローンが飛び交っていた。「奇跡が起きました」と彼は話す。「1機のドローンが近づいてきたんです」

とはいえ、それが味方のドローンだと確かめるすべはなかった。もし近づいてきたのがロシア側の監視ドローンなら、自分の隠れている場所を教えればその操縦士からの要求で自爆型のFPV(一人称視点)ドローン、もしくは砲弾が飛んでくるおそれがあった。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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