経済

2024.06.24 08:00

縮小が続く米中貿易、「コロナ禍ぶり」の低水準に

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米国勢調査局の最新データによると、米国の貿易に占める中国の割合は3月と4月に10%を下回った。筆者の分析では、対中貿易が2カ月連続で10%未満となったのは、この20年間で2回目だ。
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もし対中貿易が今年、年間を通して一桁台となれば2003年以来のこととなる。

2004年以降に2カ月連続で10%を下回ったのは2020年の2月と3月だけで、新型コロナのパンデミックが始まり、世界経済がほぼ停止状態に陥った時のことだ。

だがその後、貿易は回復した。わずか2カ月後の2020年5月の米国の貿易に占める中国の割合は18.08%と過去最高を記録。同年末は14.81%だった。
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米国がマスクや手袋、防護服などコロナ関連用品の確保で頼りにし、経済浮揚のための給付金などが注がれたテクノロジーや玩具を提供した国が、パンデミックの発端となった中国であったことは皮肉と言えなくもない。

さらに皮肉なことに、中国はすでに当時の大統領ドナルド・トランプの怒りを買っていた。トランプは2018年に中国からの3500億ドル(約55兆円)相当の輸入品に大幅な関税をかけ、貿易戦争を始めた。

それから6年たったが、中国からの輸入品への関税はトランプの後継者であるバイデン大統領に引き継がれている。今月末にCNN主催で行われる大統領選のテレビ討論会では、候補者であるトランプとバイデンの中国に関する意見の相違はあまり期待できない。少なくともその点では、2人の方向性は同じだ。

米中貿易は2020年に落ち込んでからわずか2カ月で急回復したが、経済を刺激するために当時、米政府が世帯と企業に送った小切手のような貿易促進剤は今はない。

今年これまでのところ、米国の貿易における中国の割合は10.41%。その他の主要貿易相手国であるメキシコは15.97%、カナダは14.78%だ。

そして今、バイデンは中国から輸入されるソーラーパネルと電気自動車(EV)への関税を拡大している。EVに関してはほぼ輸入されていないことから、100%の追加関税は実質的に象徴的なものだが、トランプは再選を果たせばはるかに高い関税を課すと約束している。バイデン、トランプどちらも中国との貿易戦争を終わらせることに関心があるようには見えない。

米国の貿易における中国の割合は、2020年5月の18.08%から今年3月と4月には9.74%になった。その経過はというと、バイデンが大統領に就任した翌月の2021年2月には初めて15%を割り込み、13.56%となった。2022年10月以降、13%を超えたことはない。そして昨年10月以降はずっと12%を下回っており、今年2月には11%を切った。

しかし、米国の輸入は対中国を除きほぼ変わらず、輸出が増加しても米国の貿易赤字は膨らみ続けている。かつて中国から輸入されていたものの一部は今、台湾やベトナム、日本、メキシコ、カンボジアから輸入されているのだ。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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