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2024.07.12 11:00

熱き青い炎を燃やせ——Coral Capital 澤山陽平が惹かれる起業家の資質

今年5月にアジア最大級のスタートアップイベント「SusHi Tech Tokyo 2024 Global Startup Program」が開催された。同イベント内でアメリカン・エキスプレス(以下、Amex)が実施した「Morning Pitch presented by American Express @ SusHi Tech Tokyo 2024」は、2013年1月より毎週木曜午前7時に開催されている「Morning Pitch」とのコラボレーション企画だ。ベンチャー企業と大企業の事業提携を生み出すことを目的としたMorning Pitchには、これまで2,350社超のベンチャー企業が登壇し、日本のスタートアップを盛り上げてきた。

今回開催された「Morning Pitch presented by American Express @SusHi Tech Tokyo 2024」には、Morning Pitch会員と国内外から集まったベンチャーキャピタル(以下、VC)がオンラインおよび会場から参加。Amexのカード会員でもあるスタートアップ3社、AGRIST、Unito、テーブルクロスがピッチし、会場に集まったVCから次々と投げかけられる質問をもとに、活発な意見交換を行った。今回AmexがスタートアップへのBacking(支援)として創ったのは、スタートアップとVCとがMeet upできる場だ。当日はMorning Pitch立ち上げメンバーのひとりで、シードからシリーズCまでのステージに投資し、“SaaSから核融合まで”、あらゆる業界のスタートアップを支援するVCのCoral Capital創業パートナー・澤山陽平も参加した。

「Morning Pitch presented by American Express @SusHi Tech Tokyo 2024」で日本のスタートアップへの期待を語った澤山

「Morning Pitch presented by American Express @SusHi Tech Tokyo 2024」で日本のスタートアップへの期待を語った澤山

「Morning Pitch立ち上げ時は、大企業の方にもっとスタートアップを知ってもらおうという気持ちが強くありました。スタートアップの課題として、まずは『認知度の低さ』があると感じていたからです。毎週ピッチを続けることで、大企業とスタートアップの架け橋となるのが目的のひとつでした。ビジネスを前に進めていくためにはとにかく発信を続け、共鳴してくれる人を見つけられる場をつくることが重要だったのです」

澤山の想いを反映するように、Coral Capitalでは2022年より年に2回、同社が投資するスタートアップが国内の主要VC数十社に対してピッチを行うDemo Dayを開催し、ピッチの指導を続けている。澤山はピッチの意義について「人に話すことで、自分のなかでも理解が進むので、ビジネスが磨かれていく」のだと話す。

「ピッチでは、やりたいこと、自分の事業について、5分、3分、30秒といった短く限られた時間のなかで、そのときのオーディエンスに合わせて話し方や言葉を変えながら、伝えなくてはなりません。そのために、何を話すか、どうすれば伝わるかを考え、ギュッと凝縮するという作業をします。この作業こそが、重要です。多様なオーディエンスに対してこれを繰り返し行うことによって、事業の根幹や考え、ビジョンがクリアになり、人に刺さるストーリーテリングが出来るようになっていきます。また、Demo Dayに先駆けて、登壇するスタートアップが業界を問わず、ともに練習しフィードバックし合います。そこでも化学反応が起こっています」

静かな情熱をもって人を動かす——
投資したいスタートアップの5つの特徴

Coral Capitalの投資先は、クラウド人事労務ソフトで知られるSmartHRをはじめ、核融合によるエネルギーソリューションを掲げる京都フュージョニアリングやiPS細胞を活用した生殖再生医療を手がけるDioseveなど、多岐にわたる。それぞれ事業内容は大きく異なるものの、澤山は「Coral Capitalが投資する起業家には、共通する5つの特徴がある」という。

その5つとは、以下の通りだ。

1. 「Deep Thinker(思慮深い人)」
2. 「Confident(自信がある)」
3. 「Integrity(誠実さ)」
4. 「Move People(人を動かす)」
5. 「Swinging for Homerun(ホームランを目指してバットを振る)」

まずは「Deep Thinker(思慮深い人)」であるかどうか。自身の事業について「なぜ?」を繰り返し、考え抜いてきたのかを重視する。あらゆる角度からの質問に対処できるのは、事業に対する真剣さ、本気度を反映していることとなる。

次に「Confident(自信がある)」を挙げ、苦しい壁にぶつかり続けるなかでも、長期的には必ず上手くいく確信を持っていることが重要だと考える。特に起業家に対して、投資家は前例を基に厳しい意見を投げかける場面も多いが、それらを真摯に受け止める一方で、自分たちの事業に対する自信も持ち続けなければならない。

そして、「Integrity(誠実さ)」。投資家をはじめとするステークホルダーに対して誠実であること。また、競合とのゼロサムゲームにおける短期的な勝利を目指すのではなく、ロングタームで業界やエコシステム全体の成長を指向できるかどうか、業界に対しての誠実さも持ち得るかどうかを注視している。

「Move People(人を動かす)」とは、人の心を動かせる人であるか、ということだ。Coral Capitalでは、基本的にひとりで事業を進めている起業家に投資することはない。共同創業者やエンジニアなど、起業家の事業やビジョンに最初の仲間を引き入れられているかどうかもまた、投資の判断に大きく関わってくるという。

最後は、「Swinging for Homerun(ホームランを打つためにバットを振る)」だ。「Coral Capitalが目指すのは令和のトヨタやソニーをつくり出す起業家を支援すること」であり、ヒットではなくホームランを狙うスタートアップ企業を応援していると、澤山はいう。スモールビジネスの重要性も理解した上で、Coral Capitalは、短期でのIPOによるイグジットを目的とするのではなく、歴史に残るスタートアップ企業創造を支援したい。この想いから、投資の最低ラインは将来的な見込みとして1000億円以上の事業、あるいは100億円以上の売上高と定めている。歴史に残るような大きなインパクトが出せるビジネスを本気で目指しているのか、を見ているのだという。



「私が強く惹かれる起業家はみな、『静かな情熱』を抱えています。歴史のある大企業からしてみればスタートアップの歴史はまだ短いものですが、大きなビジョンを持って物事を成し遂げようとすると、短距離走ではなく長距離走を走り続けなければなりません。そこで求められるリーダー像とは、瞬間的に盛り上がるのではなく、並々ならぬ強い想いを持ち続けたまま、その領域の課題に対して日々コツコツとやり続けられる“青い炎”を持った起業家です。そして、その自分たちが抱える想いや成し遂げたいことをしっかりと他者に伝えるために、ピッチは必要なのです。 

もちろん、大勢を惹きつける魅力や少人数に対する説得力など、人によって得手不得手は異なるため、足りない面をコアメンバーで補うことは重要です。しかし、やはりファウンダーの言葉には特別な力が宿るものではないでしょうか」

経営者も従業員も孤独にしない互助コミュニティの力

Coral Capitalにはまた、スタートアップ支援として投資先スタートアップの経営者と従業員総勢2,200人から成るコミュニティがある。これらは経営者特有の悩みや戦略を共有できる数少ない場であり、同じロールを担う他の社員が社内にはいないといったような、従業員数が少ないスタートアップ特有の状況にある従業員にとっては業種や業界をまたいで互いに育んできた知見を継承する互助コミュニティとして機能している。

「私たちはまず、『経営者を孤独にしない』ことが重要だと考えています。経営者は、従業員にはなかなか弱音は吐けないですし、投資家には忖度して話せないこともある。だからこそ、同じように悩みながら進む経営者同士が悩みを語れる場は必要なんです。

同時に、Coral Capitalとしては支援するスタートアップの従業員まで全員が集う場もまた、“互助コミュニティ”として大切なものになっていると感じています。企業をまたいだ“Coralファミリー”として”、職種別勉強会やカジュアルな部活動などを開催していて、少し先のフェーズにいる企業や、より多くの経験を持つ同職種の先輩たちの話を聞けるような関係を構築することで、課題解決の速度をアクセレートする狙いもあります」 

ともに切磋琢磨する企業がCoralファミリーとして一体感をもつことで、場合によっては人材の相互交流を担保し、スタートアップのセーフティネットとしての役割を果たすこともあると澤山はいう。

「『Pay it forward(恩送り)』。シリコンバレーにルーツを持つCoral Capitalの哲学であり、私が大事にしている考え方です。このコミュニティの基盤にもなっていると思います」

この互助コミュニティにかける期待は、2020年よりAmexとForbes JAPANが主催してきた「お悩みピッチ」にも通じていると、澤山は続ける。企業間での人材交流や相互理解を促すコミュニティの存在は、スタートアップをはじめどんな企業にとっても、成長スピードを上げるための助け合いの場となり、より良い未来をつくっていくための選択肢を発見するきっかけとなるだろう。


「お悩みピッチ」とは、日々向き合わなければならない課題を経営者同士で共有し、手を取り合って解決に導く、起業家はじめ、すべての経営者たちが、お互いの成長のために手を差し伸べ合う場。「経営者が抱えているお悩みを共有していただき、ほかの経営者にヒントをもらう場をつくることができないか。そして日々奮闘するすべてのビジネスオーナーを応援したい」——そんな思いから、Forbes JAPANとアメリカン・エキスプレスが共鳴し、 2020年に立ち上げた企画です。

 悩みながら日々奮闘している経営者たちの経験、知恵には多くのヒントがあります。ぜひこれまで開催されたお悩みピッチの記事もご覧ください。


「Morning Pitch presented by American Express @SusHi Tech Tokyo 2024」終了後のネットワーキング

「Morning Pitch presented by American Express @SusHi Tech Tokyo 2024」終了後のネットワーキング

右からアメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 日本代表/社長 須藤 靖洋、Coral Capital Founding Partner 澤山陽平、AGRIST株式会社 代表取締役 齋藤潤一、株式会社テーブルクロス CEO 城宝薫、同社COO セルカン トソ、Nordic Ninja Managing Partner  Marek Kiisa、株式会社Unito CEO近藤佑太朗、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. カード事業部門 副社長 David Caton。ここでの出会いが、また新たなコミュニティとしてつながりを生み出していく

右からアメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 日本代表/社長 須藤 靖洋、Coral Capital 創業パートナー 澤山陽平、AGRIST株式会社 代表取締役 齋藤潤一、株式会社テーブルクロス CEO 城宝薫、同社COO セルカン トソ、Nordic Ninja Managing Partner Marek Kiisa、株式会社Unito CEO近藤佑太朗、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. カード事業部門 副社長 David Caton。ここでの出会いが、また新たなコミュニティとしてつながりを生み出していく

フェーズや規模は違えど燃やす炎は同じ
——交流が生む進み続ける力

2025年3月に175周年を迎えるAmexもまた、1850年の創業当初はひとつのスタートアップに過ぎなかった。Amexは、今もかつても変わらず、「日々、世界最高の顧客体験を提供する」というビジョンのもと、時代やニーズに合わせてビジネスをピボットしながら、進化し、挑戦し続けている。「ビジネスの成長を力強く支える、“なくてはならない存在”」であり続け、より良い未来をつくるための成長を決してやめないのだ。このように、スタートアップが胸に宿している「世界を変える」という熱き青い炎は、長い月日が経ち、フェーズや規模が変わっても消えることはない。

澤山は、強く感銘を受けたという、あるピッチイベントで起業家が発した次の言葉を振り返る。 

「スタートアップでは世界は変えられない。しかし、スタートアップが大企業になって世界を変える」

Coral CapitalやAmex、スタートアップは、これからもそれぞれのやり方でスタートアップ・コミュニティを育み、互いに助け合い、学び合い、切磋琢磨していくだろう。熱き青い炎を燃やし切り拓く未来の世界はどう変わっているだろうか。

そう、ビジネスには、これがいる。
アメリカン・エキスプレス


さわやま・ようへい◎東京大学大学院 工学系研究科 原子力国際専攻修了。2009年にJ.P.モルガンに入社し、投資銀行部門で資金調達やM&Aアドバイザリー業務に携わる。その後野村證券に転職し、ITセクターの未上場企業の調査・評価・支援業務を担当。2015年、世界最大級のシード投資ファンドの日本版「500 Startups Japan」の立ち上げに際し、マネージングパートナーに就任。2019年には新ファンド「Coral Capital」を創業。ファンド名には「海の生態系の基盤を支えるサンゴ礁(Coral)のように、起業家たちを育む基盤になりたい」との思いが込められている。

Promoted by アメリカン・エキスプレス / text by Michi Sugawara / edit by Miki Chigira / photo by Yoshinobu Bito