太陽は今、活動のピークを迎えている。活動が活発化しているため、フレアやコロナ質量放出(CME)が頻発しているのだ。
米海洋大気庁(NOAA)の宇宙天気予報センターによると、CMEとは、「太陽のコロナからプラズマおよび磁気エネルギーの巨大な塊が放出される現象」であり、放出される質量は数十トンにおよぶという。
この巨大放出が地球に達すると、鮮やかなオーロラが発生する。NASAによると、2024年5月に観測されたオーロラは、これまで記録に残るなかでも最も強烈なものの1つだったという。
フレアは、猛烈なスピードで宇宙空間を移動する。「光速で移動するため、今回のフレアから発したX線とガンマ線が真っ先に到達し、それから少し遅れて荷電粒子がやってきたが、(太陽から)火星に到達するまでには数十分しかかからなかった」とNASAは解説している。
今回の太陽嵐を火星で目撃した探査機は、キュリオシティだけではない。火星上空を周回するNASAの探査機MAVEN(Mars Atmosphere and Volatile EvolutioN)も、火星のオーロラを観測した。
地球には、太陽の爆発的な放射から地表を守るメカニズムがあるが、火星の場合は、地球ほどの保護の仕組みはない。そのため、地球のオーロラは南北両極周辺に集中して発生するのに対し、火星のオーロラは惑星全体を覆う。
MAVENの太陽光エネルギー粒子測定装置(SEP)が、この事象を追跡していた。さらにNASAは、この探査機の紫外線測定装置から得られたデータを用いて、オーロラの動画を作成した。
Planet-engulfing auroras on Mars? 🤯
— NASA JPL (@NASAJPL) June 10, 2024
In May, the Red Planet was hit by a massive solar flare and subsequent coronal mass ejection, and the MAVEN orbiter captured this data with its ultraviolet instrument. https://t.co/sQOURwUC2L pic.twitter.com/zJxtJWYlYn
この動画の紫色は、5月14日からの1週間にわたり、火星の夜側で発生していたオーロラを表している。紫色が明るいほど、より多くのオーロラが発生した地域となる。
MAVENで、宇宙天気に関する観測を主導するクリスティーナ・リーは、「これは、MAVENがこれまでに観測したなかでも最大の太陽荷電粒子事象だった」と述べている。
太陽の活動はこれで終わりではない。活動が活発な時期が続くなかで、さらなるエネルギー放出が予想される。つまり、地球上ではオーロラという光のショーがさらに何度も繰り広げられるとともに、太陽と火星のエネルギーのやり取りについても、より多くのデータが得られるはずだ。キュリオシティとMAVENは、今後も観測を続けてくれるだろう。
(forbes.com 原文)