クラシックなドレスウォッチは、高級腕時計製造においてブームとなっているジャンルであり、各ブランドは最先端の機構を搭載しながら、最もクラシックなデザインを表現した、最もシンプルに見える腕時計を製作しようと競い合っている。
通常、このような時計には何らかの現代的な意匠が凝らされているもので、ルイ・ヴィトンはエスカルの新作として、プラチナ製ケースにメテオライト(隕石)の文字盤を組み合わせモデルや、オニキス製文字盤の周囲にバゲットカットダイヤモンドを配したモデルを登場させた。一方、ローズゴールド製ケースのモデルには、ルイ・ヴィトンの「モノグラム・キャンバス」の細かなシボ加工を模したというグレーまたはブルーの文字盤が与えられている。
他にもブランドの特徴的な意匠が数多く見られる。ルイ・ヴィトンやエルメス、そしてとりわけシャネルなどのファッションブランドは、どれほど高級な腕時計であっても、ロゴやブランドモチーフをふんだんに盛り込もうとするものだ。だが、ルイ・ヴィトンはエスカルの新作で、それを控えめに取り入れた。ラグとケースは同系色の装飾的なブラケットで結合されている。これがルイ・ヴィトンの有名なトランクに使われている真鍮製のブラケットを彷彿させる。
このモチーフは12時、3時、6時、9時の位置に付けられたインデックスにも反復されており、これらは中央の文字盤と、分の目盛りが刻まれた外周をつなぐ役割も果たしている。分を示すゴールドのスタッドは、ルイ・ヴィトンのトランクの外装に並ぶロジンの鋲を想起させる。
各モデルは、ケースバックの細いカルトゥーシュ(楕円形の銘板)にシリアルナンバーが刻まれる。これもルイ・ヴィトンのトランクを識別するために刻印されたシリアルナンバーのプレートに倣ったものだ。
3本の針で時間のみを表示するドレスウォッチの現在の人気は、ミッドセンチュリー期に作られたビンテージウォッチのデザインのように、小さめのケースにミニマリスト的な文字盤と貴金属を組み合わせた、レトロなラグジュアリーウォッチの再評価に呼応したものだ。エスカルの新作のケースは径39mm×厚み8.97mm(ダイヤモンド付きオニキス文字盤のモデルは40.5mm×9.30mm)。女性なら存在感を放つ腕時計として、男性ならシャツの袖下に収まるエレガントな腕時計として、男女を問わず装着できるだろう。
日本での価格は、ローズゴールドのモデルがどちらも414万7000円。プラチナケースにメテオライト文字盤のモデルは557万7000円。ダイヤモンドとオニキス文字盤のモデルは2557万5000円となっている(いずれも税込)。
(forbes.com 原文)