このプラントは、カナダでCO2除去プロジェクトを手がける企業のDeep Sky(ディープスカイ)とのパートナーシップで建設され、早ければ2026年に操業を開始するという。エクアティックの最高執行責任者(COO)のエドワード・サンダースによると、このプラントは年間10万トン以上のCO2を吸収する規模となり、3600トンの水素を生成し、販売する予定という。
彼は、水素の販売からの収益を考慮に入れて、「2030年までにCO2の除去コストを1トンあたり100ドル(約1万5800円)以下に引き下げることが可能になる」と述べている。このプラントは、「化石燃料以外のエネルギー源」で稼働するというが、それが水力発電であるかどうかをエクアティックは明かしていない。
気候変動の深刻な影響を緩和する上で、大規模なCO2の除去を可能するソリューションへの注目が高まっている。この分野では、大気中のCO2を直接回収する技術を開発したスイスのスタートアップ企業Climeworks(クライムワークス)なども存在するが、エクアティックは、電気分解によって海水からCO2を除去し、そのプロセスを通じてグリーン水素を生成している。
同社は、2023年に3000万ドル(約47億円)を調達したが、間もなくそれを超える新たな資金調達ラウンドを発表する予定だとサンダースは述べている。エクアティックは昨年、ボーイングと提携し、少なくとも5000万ドル(約79億円)相当と推計されるカーボンクレジットとグリーン水素を販売すると発表した。
競合と比べ半分のコストで実現めざす
アイスランドで商業用のCO2回収施設をすでに運営中のクライムワークスは今月、同社の次世代システムの除去コストが、2030年までに現在の半分以下の1トンあたり400ドル(約6万3200円)になると発表した。これに対し、エクアティックのシステムの除去コストは、水素の販売収益を考慮しない場合でも、1トンあたり200ドル(約3万1600円)程度になるという。「気候変動の緊急性が増す中で、私たちはCO2除去のための開発を加速させる必要があります」と、プロジェクトの実現に向けて7500万ドル(約118億円)を調達し、エクアティックとパートナーシップを結ぶディープスカイCEOのダミアン・スティールは述べている。「エクアティックと商業規模のプラントの建設を開始できることを嬉しく思います。これにより、海洋を利用して数十億トンのCO2を除去し、地球温暖化を食い止めるという目標に一歩近づきます」
サンダースは、米国にもエクアティックの施設が建設される予定だと述べた。同社は最近、米エネルギー省が主催する炭素除去技術コンペティションのセミファイナリストに選ばれた。「この賞の恩恵を最大限に受けるには、米国にプラントを設置する必要があります。これは間違いなく実現します」と彼は語った。
(forbes.com 原文)