アジア

2024.06.20 12:30

ダライ・ラマと米ナンシー・ペロシ議員らが面会、中国が猛反発

ダライ・ラマ(Shutterstock.com)

ダライ・ラマ(Shutterstock.com)

米民主党のナンシー・ペロシ元下院議長と共和党のマイケル・マコール下院議員らが率いる超党派の米国議員団が6月19日、インドでダライ・ラマと面会し、チベット亡命者の集会で演説を行った。この動きは、チベット仏教の最高指導者を敵視する中国の怒りを買っている。

米国議会の代表団は、ダライ・ラマが居住するインド北部の町のダラムサラで面会を行った。

マコール議員はダライ・ラマに、代表団が彼の前にいることを光栄に思うと伝え、どんな状況下においても「心の平和や思いやり、許し」を貫くダライ・ラマの姿勢を称賛した。議員らは、チベット人に対する「あらゆる抑圧と強制」を非難し、彼らの自己決定権を認める「チベット人救済法」の額縁入りコピーをダライ・ラマに贈呈した。

チベット亡命政府代表のペンパ・ツェリンは、ダライ・ラマが「米国議会が法案を可決したことを感謝している」と記者団に語った。また、今回の訪問に対する中国の反発について質問された際には、「中国を喜ばせることができる人がいるだろうか? 中国は現実を直視し、より広い視野で物事を理解する必要がある」と述べた。

議員団はその後、亡命チベット人の集会で演説を行った。

ペロシ議員は、亡命チベット人たちへの演説で、「ダライ・ラマは、慈悲と愛のメッセージとともに今後も生き続け、その遺産は永遠に残るでしょう」と述べた。同議員は、中国の習近平国家主席についても言及し、「あなたが去ったなら、誰もあなたの功績を認めることはないでしょう」と語った。

中国外務省の報道官の林剣は、今回の米議員団の訪問を批判し、「ダライ・ラマは純粋な宗教家ではなく、宗教を隠れ蓑にした反中国分離主義活動に従事する政治亡命者だ」と述べた。「私たちは、米国が中国と結んだチベット問題に関する約束を尊重し、いかなるかたちでもダライのグループと接触せず、世界に誤ったシグナルを送らないよう強く求める」と彼は続けた。

今回の訪問は、米中間の緊張をさらに高める可能性が高い。過去2年間、ペロシ元下院議長とその後任の共和党のケビン・マッカーシー元下院議長率いる代表団が、中国が自国の領土の一部であるとみなす台湾を訪問している。

中国政府は、この訪問を中国への内政干渉と台湾独立の支援ととらえ、怒りをあらわにした。中国に併合されたチベットも、中国が神経をとがらせる地域だ。チベットは1949年以来、中国が実効支配しており、その主権と領有についてチベット亡命政府と対立している。また、中国政府はチベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマを危険な分離主義者とみなし、「法衣を着た狼」と呼んでいる。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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