チタン材料の流通を手がけるイタリア企業、チタン・インターナショナル・グループ(TIG)のメモによると、同社はこの材料を中国航空工業集団(AVIC)の子会社であるAVIC Shaanxi Hongyuan Aviation Forging Co. (HYFC)から購入していた。また、イタリアの航空宇宙・防衛企業レオナルド社からのサプライヤー宛ての書簡によると、TIGはイタリアの当局に対し、2016年までさかのぼってHYFCから調達したチタンの生産元を確認できていないと伝えたという。
航空機メーカーと欧州航空安全機関(EASA)は、問題の部品をテストした結果、現時点では安全上のリスクはないとフォーブスに説明した。しかし、書類の不備を受けてボーイングは現在、完成が近づいた航空機の問題部品を交換しており、当局は、運用中の航空機の部品も安全性を証明するのが難しいため交換を義務づける可能性がある。航空宇宙の規制当局は、部品やその材料が安全性および耐久性の規格を満たすことを確実にするため、詳細な書類を保持することを義務づけている。
TIGのメモには、HYFCが同社に供給したチタン材料が中国の宝鶏鈦業股分有限公司によって航空宇宙規格に準拠して製造されたと証明する書類を提供したと記載されている。しかし、昨年末に宝鶏はそのチタンの供給元であることを否定したとTIGは述べている。HYFCとTIGはフォーブスの問い合わせに回答しなかった。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は6月14日、ボーイングが連邦航空局(FAA)に対し、スピリット・エアロシステムズから問題の中国産チタンを使用した部品を調達していたことを認めたと報じた。スピリット社は、ボーイングとエアバス向けの機体部品を製造している。今回の材料のニュースは、1月に飛行中のボーイング737マックスからスピリット社製のドアが脱落し、緊急着陸を余儀なくされたボーイングとスピリット社に浮上した新たな問題だ。
事情に詳しい情報筋がフォーブスに語ったところによると、スピリット社はトルコ航空宇宙産業が中国から供給されたチタンを使って製造した部品を調達していたという。
NYTは、ボーイングの787ドリームライナーや737マックスなどに、問題の部品が使用されている機体が含まれていると報じている。ボーイングの広報担当のジェシカ・コワルはフォーブスに対し、影響を受けた機体に関しては「まだ調査段階だ」だと述べた。しかし、彼女は「ごく少数のパーツ」が一部のサプライヤーから供給されたと説明した。
「これまでのテストで、正しいチタン材料が使用されていたことが確認されています」と彼女は述べた。問題のチタンを用いた部品はエアバスのA220にも使用されていますが、エアバス社は「耐空性は損なわれていない」と述べている。
FAAとEASAはフォーブスに対し、「調査を継続中だ」と語った。
(forbes.com 原文)