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2024.06.27 11:00

不確実な時代のアジャイル経営をサポートする、AIを活用したEPMの「予測」と経営シナリオ

企業が蓄積したデータなどを用いて予算計画や収益性をシミュレーションし、経営管理を行うEPM(Enterprise Performance Management)。EPMの概念は1980年代から存在しているが、AIを活用することでスピーディな意思決定が可能になるとして、いま再び脚光を浴び始めている。

EPMが企業にもたらすインパクトについて、企業へのAI/EPMの導入支援を行っているPwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)上級執行役員の藤川琢哉、執行役員の市川秀樹に話を聞いた。


複雑化する世界では複数の経営シナリオが必要

不確実性の高い時代——よく耳にする言葉だが、改めて近年を振り返ってみてもコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻を引き金として、原油価格や為替レートの短期間での急激な変化やサプライチェーンの崩壊など、これまで予測すらされなかったことが次々と起こっている。

物事が複雑に絡み合う経営環境の不確実性が増すに伴い、企業の経営管理の難易度も上がっている。過去の企業内データのみを用いた予測は信頼性が低く、株価や為替レート、政治情勢などの外部データも経営を左右するドライバーとして取り込まなければならなくなった。そこで、それらの社内外のデータにAIを掛け合わせ、経営の複数のシナリオを描くことが現代のEPMのスタンダードな使い方になっている。

市川は、「不確実性が高い世の中で、複数の予測シナリオを人力で考えるのは限界がありますし、正確性も担保できません。そこで、経営管理ツールのEPMに注目が集まっています」とEPMの必要性を語る。

日本企業が乗り越えるべき属人化・サイロ化

PwCコンサルティングは、目指すべき予実管理業務の実現レベルを4段階で示している。レベル1では表計算ソフトなどでの管理、レベル2ではEPMツールによるデータの一元管理と業務の標準化、レベル3では経営ドライバーとなる変数を用いながらのシミュレーション、レベル4ではAIを活用した自動的な業績予測のデイリーでの実行と定義している。

デイリーでの業務予測は過剰とみる向きもあるだろうが、藤川は「ニュースひとつで、経営計画の前提となるドライバーが大きく変わる時代です。この変化を人間が日々モニタリングするのは不可能ですから、AIを活用してデイリーでの業績予測を実現します」とその重要性を語る。

レベル4を理想とする一方で、日本企業の多くはレベル1~2にあると見られている。藤川と市川がその要因として口をそろえるのが、社内データの属人性の高さだ。

「トップダウンでシステムを導入して業務を標準化する欧米企業に対し、多くの日本企業はボトムアップの文化であるため、各部門の個別最適でデータが管理されています。集計データなどの重要なデータが、表計算ソフトを使ってオーナーだけが管理できるような複雑でオリジナリティの高いものになっていることも多い」(藤川)

 PwCコンサルティング合同会社上級執行役員の藤川琢哉

PwCコンサルティング合同会社上級執行役員の藤川琢哉

そういった属人性の高いデータには、形式が事前定義された構造化データと、ドキュメント等の形で保管されている非構造化データが入り混じっているケースが多い。これらを集約するために多額の投資をしてデータウェアハウスを構築したものの、活用しきれていない企業も散見される。

データの属人化に加えて、データが各部門に閉じていて全社で管理・分析できていない「サイロ化」に陥っている企業も少なくない。

「その要因としては、データの権限があいまいなことと、データの正確性に対する保障が未整備であることが挙げられます。つまり、個人または部署で業務上必要なために作成したデータであることが多く、予測に使われることなどは想定されていない。そのため他部署に出せる正確性がないとして、閉じられたデータになってしまうのです」(市川)

これらのデータ管理にまつわる問題を乗り越えてEPMを導入するために、PwCコンサルティングではデータの正確性の担保、オーナーシップの確認・活用にあたってのルール整備といったデータマネジメントも支援している。

大規模ではなくアジャイル型の導入を

導入には高いハードルがあるように思えるEPMだが、市川は導入に必要な観点について「最初から全社導入や精緻なデータの管理といった完璧を求めないこと。始めやすいところから着手するスモールスタート、クイックウィンの意識が大切です」と説明する。一部門がEPM導入に成功し、それを横展開していくボトムアップ方式は日本企業の文化にフィットするという。

その一例として、とある物流業界では、管理会計からEPM導入をスタートした。徐々に他部門にも横展開され、いまでは設備取得のシミュレーションや部門間連携のためのツールとしても活用されているという。設備取得においては、購入やリースなど複数の方法がある中で、為替など多岐にわたるドライバーを踏まえ、最適な打ち手をEPMでシミュレーションしている。

クイックウィンの観点で見ると、その具体例としてスピーディな導入が挙げられる。ある別の企業では、為替変動を踏まえたコスト予測を立て、それが収益にどのようなインパクトを与えるかをEPMで管理している。その導入に要した期間はわずか半年だという。

「導入したツールがコーディング不要なSaaS型アプリケーションであるため、モックアップをクライアントと一緒に見ながら、要件をスピーディに固めていくことができました」(市川)

PwCコンサルティング合同会社上級執行役員の市川秀樹

PwCコンサルティング合同会社上級執行役員の市川秀樹

このようなスピーディな導入が求められる背景として、藤川は「経営環境の変動が激しい現代においては、期初に立てた計画通りに実行できないことを前提とした、アジャイルな経営管理が必要になっています」と分析する。事業ポートフォリオ全体を見渡して、どのタイミングで、どこにリソースを投下すべきかを常に判断し続ける姿勢が欠かせない。

そういった経営者の実現したい世界観をインタラクティブに話しながら、要件定義から開発までを一貫して進められるのが、コンサルティングファームならではのEPM導入支援だ。

「重厚長大なシステムを開発し、何年間も運用するのはいまの時代に即しません。素早くシステムを開発し、経営環境が変わったら、ツールもクイックに変えていくべきだと考えます」(藤川)

前述の事例のような活用に加え、最近ではCO2排出量の開示や、従業員男女比率や保有スキルといった人的資本開示にも用いるなど、EPMの活用の幅が広がっている。

「使えるツール」にするには内製化が不可欠

EPMを導入し、レベル4のAIを用いたシミュレーションを行えるようになると、経営の予実管理だけでなく、世相の予測や将来のシナリオ作成も可能になる。そうすることで1年ほどの短期予測はAIに任せ、目標達成のための具体的な施策にリソースを集中することができる。予測が外れることも想定されるが、世相を見立て、経営環境の見通しをつけておくことが重要だと、藤川と市川は口をそろえる。

また、日本企業の多くはAIを活用したシステム開発を外部に委託しているため、社内で運用する体制が整っておらず、社内ではメンテナンスができないケースが多い。その結果、AIの性能が落ちるという傾向もあり、それがAIに対する失望に拍車をかけるという悪循環に陥っているという。そういった現況に対し、藤川は強い危機感を募らせている。

「日本企業はAI活用のリスクに対してセンシティブなのにもかかわらず、AIガバナンスが進んでいないという傾向があります。このままでは、漠然とした不安感から日本におけるAI活用にブレーキがかかり、生成AI活用の先進国だった日本に他国が追い付く可能性が非常に高い。これからの時代はAI活用がビジネスの大前提になることを考えると、いまはその漠然とした不安を取り去り、AI活用のベネフィットを最大化することが必要です。EPMも内製化し、“使えるツール”として維持していかなければいけません」(藤川)

PwCコンサルティングはAIガバナンスの整備やEPMの内製化、社内で運用とメンテナンスができるまでの一連の支援も行う。

「EPMを活用し、経営判断をスピーディに行う企業が増えることで、日本の競争力が高まると考えています。PwCコンサルティングはそのためのご支援をしていきたいと考えています」(藤川)

Anaplanによる経営管理業務の高度化サービス
https://www.pwc.com/jp/ja/services/consulting/analytics/anaplan.html


藤川琢哉◎PwCコンサルティング合同会社上級執行役員 パートナー。十数年にわたりデジタル領域のコンサルティング業務に従事。 データアナリティクスをはじめ、サイバーセキュリティ、プライバシー、ITインフラストラクチャなど幅広いデジタル領域の専門性を有する。現在はPwCコンサルティングにおけるデータアナリティクスチームの責任者を務める傍ら、クライアントのCDO (最高デジタル責任者)を中心としたエグゼクティブに対しDXに関するアドバイスを提供している。

市川秀樹◎PwCコンサルティング合同会社執行役員 パートナー。
事業会社、日系コンサルティングファーム、外資系コンサルティングファームを経て現職。経営管理・管理会計・マーケティング・生産管理などデータおよびアナリティクスを用いた経営改革を数多く主導。製造業・金融業・小売業・運輸業・製薬業・エネルギー業など幅広く支援している。

Promoted by PwCコンサルティング合同会社 / text by Takako Miyo / photographs by Yoshinobu Bito / edited by Kaori Saeki