プーチン氏の訪朝は24年ぶり。かつて、はなもひっかけなかった北朝鮮を訪れた理由を、プーチン氏は寄稿文のなかで告白している。プーチン氏は「北朝鮮がロシアの特別軍事作戦を断固として支持」したことを「高く評価する」とした。北朝鮮がすでにロシアに送った砲弾は100万発とも500万発とも言われる。ロシア軍が1カ月で消費する砲弾は約50万発とされる。ロシアがウクライナでの継戦を考えた場合、北朝鮮の支援抜きでは考えられない。
もうひとつ、気になる記述が寄稿文には出てくる。「ネオナチ(ウクライナ)がロシア領土を攻撃するために、近代的な西側の兵器や技術機器を使用することを推し進め、許可している」という一節だ。それだけ、ロシアはウクライナ軍によるロシア領内への攻撃を深刻にとらえている。
2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻は許されない侵略行為だったが、西側諸国は「戦域の不拡大」「核戦争への発展」という二つのエスカレーションを防いできた。西側諸国はロシア領を攻撃できる兵器の供与に慎重な姿勢を維持し、自国兵士の派遣も見送ってきた。
ところが、ウクライナが西側兵器を使ってロシア領内への攻撃を始めたことは、プーチン大統領に大きな衝撃を与えたようだ。ロイター通信によれば、プーチン氏は5日、外国メディアとの会見で、西側がウクライナに供与しているものと同等の高度な長距離兵器を、西側と敵対する世界中の勢力に提供することを検討していると述べた。これに対し、バイデン米大統領は6日のテレビ番組で「首都モスクワへの攻撃までは認めない」と強調した。だが、東京外国語大学の吉崎知典特任教授(戦略論)は「モスクワ以外なら全部攻撃できるという発言だとも読める。ロシアに対する安心材料になっていないだろう」と語る。北朝鮮は、ロシアの「高度な長距離兵器」を受け取る十分な有資格者と言える。