北米

2024.06.18 10:00

トランプに「深刻な記憶障害」 伝記作家が主張

米ラスベガスの選挙集会で演説するドナルド・トランプ前米大統領。2024年6月9日撮影(Brandon Bell/Getty Images)

ドナルド・トランプ前米大統領に6回インタビューを行った伝記作家が、トランプは「深刻な記憶障害」を抱えていると主張している。

実業家だったトランプが知名度を上げるきっかけとなったリアリティ番組『アプレンティス』出演の知られざる舞台裏を描いた近刊『Apprentice in Wonderland』の著者で、米娯楽誌バラエティ共同編集長のラミン・セトゥーデによると、トランプは「物事を記憶できず、私のことも覚えていなかった」という。

セトゥーデは17日朝、米ニュース専門放送局MSNBCの番組『モーニング・ジョー』に出演し、「大統領退任後のドナルド・トランプの真の姿を知ることができた。どんな人物なのかがわかった」と語った。

セトゥーデは、トランプが週末の演説でジョー・バイデン大統領に対し職務適性を判断するため認知テストを受けるべきだと述べたことに言及。しかし、18日発売の自著のためのインタビューで「深刻な記憶障害」を示したのはトランプのほうであり、「彼と最も長い時間を過ごしたジャーナリストとして言わせてもらえば、彼は物事を記憶していられなかった。私のことさえ覚えていなかった」と主張した。

セトゥーデによると、2021年にトランプに1時間にわたるインタビューを行い、数カ月後にまた取材のためトランプタワーを訪れたところ「トランプがぼんやりした表情をしていたので、『私を覚えていますか』と尋ねた。彼は『ノー』と答えた。長時間のインタビューをしたことも彼の記憶にはなかった」という。

「米国民はドナルド・トランプのこのような真像を知る必要があると思う」とセトゥーデは話した。

トランプ陣営はセトゥーデの主張に反論し、トランプが記憶障害を抱えているとの指摘を否定。陣営の広報担当を務めるスティーブン・チャンは、「トランプ前大統領はこの人物が誰であるかをインタビューの過程で認識していたが、この『作家』は無名の取るに足らない人物だったため、当然ながら印象に残ることはなかった」との声明を発表した。

チャンは「『アプレンティス』という番組の重要性と世界規模での文化的影響の大きさを認識したうえで、この『作家』は、トランプ前大統領を中心に人生を展開するあまたの敗者たちと同様に、『トランプ錯乱症候群』によって自らの脳を腐らせることを選んだ」とセトゥーデをこき下ろしている。

セトゥーデは著書の中で、『アプレンティス』こそ2016年の大統領選でトランプが最終的に勝利するに至る鍵だったと指摘。失敗した実業家がこの番組によって、国を率いる才能と実直なスタイルを持つ産業界の巨人として再ブランド化されたとの見方を示している。

「これこそ、ドナルド・トランプが米大統領になった理由だ。彼が今また大統領選に立候補し、再び米大統領に就任するかもしれない理由だ」とセトゥーデはMSNBCの番組中で語った。

セトゥーデはまた、「大統領退任後のトランプの精神的気質、復讐への執着」について共同司会者のジョー・スカーボロに、「トランプはまだあなたに執着している。あなたが2015年に行ったインタビューについて詳細に語った」「ほとんどの大統領は退任後、より幸せなことを考えてその先の人生を生きていくものだが、トランプは誰かが言った否定的なことはすべて覚えていた」と話した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事