テスラは後退期に突入したのか?
このテスラ株の低迷は、今年35%以上上昇した自動車大手ゼネラルモーターズ(GM)とは対照的だ。EV市場全体が減速しており、テスラは納車台数が顕著に落ち込んでいる。2024年第1四半期のテスラの納車台数は38万6810台で、前年同期比8.5%減となった。生産能力の積極的な拡大により、テスラは売れ残り車両の在庫の増大と戦っているようだ。前四半期の生産台数は43万3000台で、さらに4万7000台が在庫として追加された可能性が高い。テキサス州、オーストラリア、ドイツ各地の駐車場に売れ残ったテスラがあることが、報告書や衛星画像から明らかになっている。さらに、供給日数で測定したテスラのグローバルの在庫車両は、2023年第1四半期の15日から2024年第1四半期には28日に増加している。テスラの納期も、2022年には最大6カ月かかっていたものが、カスタマイズモデルではわずか数週間に短縮されている。
現在、売れ残り在庫の増加が同社に対する懸念となっている。それは同社が後退期に突入し、現金が在庫となって滞留してしまっていることを示している可能性がある。在庫の積み増しにより、テスラのフリーキャッシュフローは2024年第1四半期にかけて25億ドル(約3936億円)のマイナスとなった。
とはいえ、テスラは今四半期には事態が正常化すると私たちは予想する。在庫の増加に対応するため、テスラは在庫車の値下げを実施する一方、カスタマイズモデルにはより高い価格を設定している。例えば、モデルYの長距離バージョンとパフォーマンスバージョンは最近、5000ドル(約78万円)以上の値引きが行われた。さらに、テスラの製造工程は高度に自動化されており、今後必要に応じて生産調整を行うことも可能だ。それらの要因も踏まえ、テスラの収益は、自律走行ソフトウエアの販売増と人工知能(AI)ツールの導入により、長期的に成長する可能性が高いだろう。