欧州

2024.06.17 09:00

米紙記者のスパイ活動は「CIAの指示」 ロシア最高検が主張

ロシア首都モスクワの裁判所に出廷した米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシュコビッチ記者。2023年6月22日撮影(Sefa Karacan/Anadolu Agency via Getty Images)

スパイ容疑で昨年3月にロシアで拘束された米国人記者を巡り、ロシア最高検察庁は13日、米中央情報局(CIA)の指示でロシアの軍需工場に関する情報を収集していたと主張した。容疑に関するロシア側の主張については、これまで詳細が明らかにされていなかった。

複数の報道機関が報じたロシア最高検の声明によると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシュコビッチ記者(32)は、CIAの指示で、ロシアの軍事装備を製造・修理するウラルワゴン工場に関する機密情報を収集した罪に問われている。

ゲルシュコビッチ記者は昨年3月にロシア中部エカテリンブルクで拘束され、首都モスクワのレフォルトボ刑務所に移送された。今後、首都の東約1400キロに位置するエカテリンブルクに再度送られ、同市にあるスベルドロフスク地方裁判所で審理されることになる。有罪になれば、最高で20年の懲役刑に処せられる。WSJによると、裁判の日程はまだ決まっていないが、機密情報が関わっているため非公開で行われる可能性が高い。

ロシア当局は昨年3月、ゲルシュコビッチ記者の報道が情報収集を目的とした米政府の作戦を偽装したものだと主張し同記者を拘束したが、証拠は示されていない。米国務省はWSJとともに、同記者が米政府のために活動していたとのロシア側の主張を真っ向から否定し、不当に拘束されたと訴えている。

一方のロシア外務省は、ゲルシュコビッチ記者の裁判の評決が出るまで捕虜交換を検討しないとしている。ロシア国営タス通信によれば、同国のウラジーミル・プーチン大統領は、米政府がゲルシュコビッチ記者の解放に向け積極的に動いていることに触れ、本件は「相互主義に基づいてのみ解決されるべきだ」との見解を示した。

ゲルシュコビッチ記者の解放に向けた両国の協議は続いており、アントニー・ブリンケン米国務長官は、明確な前進はないものの、米政府は精力的に取り組んでいると説明した。プーチン大統領は米国との合意に至る可能性を信じているとしながらも、ゲルシュコビッチ記者がロシアの機密情報を収集したという主張を繰り返している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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