経済

2024.06.17 12:30

本当に世界の石油供給は2030年に「驚くほど過剰」になるのか?

当時、筆者はブルームバーグの記事の前提に異論を唱え、記事で次のように結論づけた。「ブルームバーグの記事にあるように2023年には原油需要が現在よりも200万bpd減少するのではなく、EVの継続的な成長にもかかわらず石油需要が増加していても驚きではない」

実際にそうなった。2023年の世界の石油需要は2016年から500万bpdほど増えた。ご存知のとおり、2023年の原油価格は供給過剰を示すものではなかった。

だが、もし市場がブルームバーグの予測を額面どおりに受け取っていたらどうなっていたかを考えてほしい。供給過剰が予測されたために石油関連のプロジェクトへの投資が途絶えていたら、2023年の原油価格は1バレルあたり平均78ドルではなく、130~150ドルになっていたかもしれない。価格の乱高下は間違った予測の結果でもある。

要するに、ブルームバーグが学んだように、この手の予測を立てるのは難しいということだ。ついでにいうと、2005年に米国の石油生産量が今後10年間でどの国よりも速いペースで増加すると予測していたら、エネルギーアナリストはみな、一笑に付していただろう。だが、まさにそのとおりになったのだ。

IEAの予測どおりになるかはわからない。筆者が知っているのは、過去10カ月間、米国の石油生産量が、まだ過去最高の水準に近いとはいえ、横ばいになっているということだ。米国の数少ない優良な油田はほとんど掘り尽くされている。米国の石油生産は踊り場に差し掛かっているかもしれず、その一方でIEAは2030年までに米国の生産は200万bpd増えると予測している。

IEAの予測には多くの前提条件がある。そのうちの1つか2つが間違っているだけで、「驚異的」な供給過剰というIEAの予測は大きく外れるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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