欧州

2024.06.15 10:00

ロシア軍最新鋭の無線中継車に初損害 ウクライナ、ドローンで越境攻撃

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西側の多くの軍隊と違って、ロシア軍は長距離通信を常に衛星に頼れるわけではない。代わりに頼みにしているのが、大気圏の最も下(地表から高度十数kmまで)にある層で、水蒸気を大量に含む対流圏に地上から信号を跳ね返して行う無線通信だ。

この無線通信は特殊な中継車両に依存している。各車両は前線とさまざまな指揮拠点の間に数十〜数百km離れて配置され、対流圏に反射する微弱な信号を受信したり再送信したりしている。

これらの無線中継車はロシア軍にとって貴重で高価なリソースだ。13日かその少し前、ウクライナ特殊作戦軍がロシア軍の最新のR-416GMデジタル無線中継車を追跡し、自爆型のドローン(無人機)で破壊したのもそのためだ。特殊作戦軍がわざわざソーシャルメディアで戦果を祝したのも当然だろう。

ウクライナ国防省も「この戦争で初めて、ロシアの最新の移動式通信所であるR-416GMがウクライナ特殊作戦軍の(ドローン)操縦士によって破壊されました」と報告している

もっとも、ウクライナの1000kmにおよぶ戦線やその近くに何十両も配備されているR-416GMを1両破壊しただけでは、ロシア軍の通信を大きく妨害することはできないだろう。だが今後、ウクライナ側がR-416GMや旧式のR-142、新型のR-419L1といった無線中継車をさらに多く発見し、破壊していくことができれば、ロシア側では指揮官との連絡が途絶し、混乱する戦闘部隊が出てくるかもしれない。

ロシア軍の無線中継車はたいそうなシステムである。冷戦後期の主力無線中継車だったR-142は、3.5t弱のGAZ-66軍用トラックに長距離無線装置を最大5基搭載し、要員最大5人が乗り込める。

数年前、ロシアの産業界はより新しい無線中継車であるR-419L1を開発した。軍用品などの輸出入を手がけるロシア国営企業ロソボロネクスポルトは、その信号の品質は「デジタルケーブルや光ファイバー通信回線と同等」と紹介している

ロシア軍はウクライナで2022年2年に拡大した戦争の初期に、兵力集中の一環で、ほぼ新品のR-416GM数十両を含む無線中継車をウクライナ国内やその周辺に配備した。その後、R-419L1も多数投入している。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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