欧州

2024.06.15 10:00

ロシア軍最新鋭の無線中継車に初損害 ウクライナ、ドローンで越境攻撃

R-419L1はR-416GMよりも前線近くに置かれることが多く、発見もされやすかった。オランダのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)分析サイト「オリックス(Oryx)」によると、戦争拡大後1年8カ月の間にロシア軍のR-419L1は3両の撃破が確認されている。

今回、戦争拡大から2年4カ月近くたって、ついにR-416GMが発見された。場所はウクライナとの国境から15kmほど離れたロシア南部クルスク州クレミャノエ付近だったと特定されている(編集注:クレミャノエは、ロシア軍がハルキウ方面への進撃と並行して威力偵察を行っていたウクライナ北東部スーミ方面と向かい合う場所に位置する)。

ウクライナ軍の監視ドローンが上空から見守るなか、特徴的な高いアンテナ塔を備え、偽装を施されたR-416GMに攻撃ドローンが突っ込んでいく。車両は炎上し、煙が上がる。

ウクライナ側がこのR-416GMをどうやって発見したのかは不明だ。熟練のドローン操縦士が膨大な監視映像を根気強く調べて見つけ出したのかもしれないし、情報部隊がロシア側の無線通信を探知し、それをたどって中継車両の位置を突き止めたのかもしれない。

多少の規律があれば、無線中継の要員は居場所をわかりにくくできるだろう。たとえば通信時間を制限したり、頻繁に移動したりすれば、ウクライナ側に車両の位置を追跡されにくくなると考えられる。

しかし、ロシア軍の通信部隊はそうした規律に欠けることがある。英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のアナリスト、サム・クラニーエバンスとトーマス・ウィジントンは2022年3月の論考で「情報筋によると一部のロシア軍部隊は通信規律が緩いようだ」と指摘している。

攻撃を受けたR-416GMは、たんに要員の怠慢や無能ぶりによって位置がばれ、自爆ドローンの格好の目標にされてしまったのかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事