ちなみに5月17日には、日本人初のメジャーリーガー村上雅則氏(メジャーデビューは1964年)が、サンフランシスコで行われた古巣球団ジャイアンツとロッキーズとの試合で始球式を行っている。
南氏と野球との関わりは深い。むしろ氏の事業家としての原体験は野球にあり、といっても言い過ぎでないかもしれない。2004年、プロ野球球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」創業メンバーとなり、楽天グループ代表取締役会長兼社長三木谷浩史氏、ヤフー最高執務責任者(当時)小澤隆生氏、USEN-NEXTホールディングス取締役副社長島田亨氏(当時)ら実業界の傑物たちと文字通り苦楽を共にし、彼らからビジネスを学んでいるからだ。
そればかりではない。Forbes JAPAN2022年9月号「私が尊敬するカリスマ経営者」で、南氏は次のように語っている。
「私が尊敬するのは……プロ野球監督の野村克也さんです。
楽天イーグルスで働いていたころ、チームミーティングを後方で何度か聞く機会がありました。
そこで初めて『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』という野村監督の言葉を耳にしました。起業後、その言葉に立ち戻る場面が何度かありましたが、事前の情報収集から戦略の数値化、またその都度浮き上がってくる課題の要素分解や本質的解決など、地道な準備や改善、そして仕組み化を追求することを通じて負けない経営を意識してきました。
これからも変わり続けるために、学び続けます」
8日の始球式に関しては「痛恨の大暴投」などとも報じられたが、"ヤンキースタジアムマウンドのプレッシャー"という無二の課題や学びを、南氏は今後の事業にどう生かし、変わりゆくのか。楽しみである。