経営・戦略

2024.06.24 15:00

世界のEV市場は減速しても中国新興の小鵬汽車が強気の理由

「24年には複数のEVを発売しますし、25年と26年にはさらに発売ペースを加速させます」(何)
 
何は、シャオペンの自動運転技術は他社より「はるかに先進的」だと主張する。1月には自社の自動運転サービスが中国の243都市で利用可能であると発表した。だが、中国の法律はまだ人間が運転者として乗車し、自動運転モードでの運転に介入可能であることを義務付けている。

自動運転技術の開発は計画通りに進んでいると何は語る。シャオペンは自動運転車に使用するエヌビディアの高性能チップを、今後2年間で必要な分は備蓄しているようだ。しかし、中国と米国のテクノロジーをめぐる衝突を背景とするバイデン政権による輸出規制で、同社の半導体供給の先行きも不透明感を増すと見られている。
 
シャオペンは20年に株式公開して以来、利益を計上していない。モーニングスターのサンは、黒字化には26年までかかると予想しており、ブルー・ロータス・キャピタル・アドバイザーズのエリック・ウェンは31年と見ている。しかし何は、もっと早い25年までの黒字化を見込む。

「現状は多くの予測より好調であると自信をもって言えます。外部の方たちは、私たちがどれほど急速に変化しているかご存じないですから」


小鵬汽車◎2014年、何小鵬らが共同創業した。中国・広州を拠点にスマートEVの研究開発を行い、EVSUVの量産を目指した。17年暮れにはアリババからの出資を得て、18年1月、初めて米国のテクノロジー見本市CESに最初のEVSUVモデルG3を出品。自動運転技術をはじめとする先進技術の開発に力を入れている。

何小鵬◎中国・湖北省出身。広東省の華南理工大学でコンピュータサイエンスを学び、ソフトウェア開発企業アジア・インフォに勤めた。その後、モバイルブラウザ事業を立ち上げ、10年後に43億ドルでアリババに売却。14年にシャオペンを共同創業した。アリババは後に、シャオペンの投資家になった。

文=ワン・ユエ 写真=ファン・イーフェイ 翻訳=木村理恵 編集=森 裕子

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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