サイエンス

2024.06.16 17:00

カップルが直面する「欲求のギャップ」、効果的に対応する2つの方法

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「欲求のギャップ」とは、パートナー間の性的欲求や愛情欲求のレベルの相違を指す。これは、パートナーの片方が、他方よりも頻繁な性行為を望むことや、肉体的な愛情や親密さに対する欲求が異なるなど、さまざまな形で現れる。

時間の経過とともに、パートナーの欲求レベルに差が生じるのは自然なことだ。しかし、大きな食い違いを放置しておくと、対立につながる可能性がある。相手との関係において、フラストレーションや拒絶、不満、断絶といった感情が生じてしまうかもしれない。

学術誌Journal of Marital and Family Therapyに2024年4月に掲載された研究では、成人カップルがこうした食い違いに対処するためのさまざまな戦略について調査を行なった。そして、特に役立ちそうな2つの戦略を見つけ出した。

この研究が明らかにした、欲求のギャップに対応する2つの方法について、以下で説明していこう。

正直で直接的なコミュニケーション

効果的なコミュニケーションは、「欲求の食い違い」に取り組む上で欠かせない。この研究では、性的欲求の食い違いがある成人の50%以上、愛情欲求の食い違いがある成人の75%以上が、コミュニケーションを工夫していると報告している。

研究者たちは、次のように書いている。「成人カップルたちは、互いの食い違いを防ぐために、例えば、『その気になれないこと』について口に出して話し合ったり、パートナーに対して、特定の身体的行動を要求したり、話し合いの結果セックスをしないことを選んだり、妥協したり、ポジティブなサポート戦略を使ったり、身体的行動のいつものパターンを変えたりしている、と報告している」

この方法は、相手に対する尊重と同意、相互理解を拠り所としている。カップルは、お互いにとって心地よい愛情レベルを見つけるためにコミュニケーションをとることができる。あるいは、ポジティブなサポート戦略を用いることもできる。例えば、言葉に出して相手を肯定すること、愛を思い出させる言動をとること、少し後でより多くの愛情を示す行動に出る、といったことだ。そうすることで、たとえ肉体的な欲求が一致していなくても、「相手から大切にされている」と感じやすくなる。また、親密な時間では、身体的な行動のペースを遅くして、パートナーの心地よさに合わせることもあるかもしれない。

ある研究参加者は、こう説明する。「私たちは、より多くを求めるといったプレッシャーをかけることなく、時の経過のなかで、何かが変わっていないかを計るために、互いの様子を探り続ける」

興味深いことに研究者たちは、「性的欲求の食い違いを問題視していない参加者」の方が、「問題視している参加者」よりも、食い違いを解決するためにコミュニケーションを用いる傾向が強いことを発見した。このことは、このような食い違いを解決するためには、自分の欲求に関する視点を変えることが重要である可能性を示している。

43歳の研究参加者は、「『その気になれない』ということは、『もう興味がない』ということではなく、恐れでもないことを、我々は知っている。そこに至るまでには、長い時間と、多くの難しいコミュニケーションが必要だった。願望や感情を伝え、必要なときに気楽にオプトアウトできるようになったことは計り知れない進歩だ」と説明し、この戦略の有効性を強調している。

親密さの「別の形」を探求する

この研究によると、性的欲求の食い違いがある成人の75%近くと、愛情欲求の食い違いがある成人の29%が、「代替的な性的行動/愛情行動」への取り組みを選んでいた。

欲求が一致しない場合、代替行動を行なうことは、双方が満足できる方法でニーズを満たすのに役立つ可能性がある。参加者の多くは、挿入を伴わない性行為を選び、近くに座ったり、抱き合ったり、マッサージしあったりすることで、お互いの存在を感じて楽しむことに集中する、と報告している。
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翻訳=ガリレオ

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