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2024.06.14 11:30

東京はアジアの「シン・金融センター」になれるか? 訪れた好機と克服すべき課題

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数年前、香港が反政府デモや新型コロナ対策の厳しい制限措置の影響に苦しんでいた頃、アジアのほかの都市は金融センターとしての評判を高める好機だとみた。ほかの都市というのは、すでにアジアの金融センターの地位を確立し、成長を続けているシンガポールではなく、東京や台北などのことだ。

いくつか高邁な宣言がなされ、野心的な計画が打ち出された。しかし、結果はこれまで物足りないものだった。どの都市も国際金融センターとして、いや、アジアの金融センターとしてすら本格的に台頭できていない。

金融サービスのどの分野をみてもそうで、たとえば暗号資産(仮想通貨)の取引も結局、アジアでは香港とシンガポールの2都市の争いになっている。

注目される東京

アジアの都市で、最も積極的に新たな金融センターとして売り込んできたのが東京だ。それも当然だろう。東京は世界3位の経済大国である日本の金融の中心地であり、その株式市場はここ数年、絶好調だ。また、日本への外国直接投資(FDI)は15年ぶりの高水準に達している。

東京は国際金融センターをめざしていくつかの措置も講じている。たとえば、海外の投資家を主な顧客とするファンドマネージャーの登録手続きの簡素化、一定の条件下での外国人を対象とした海外資産に対する相続税の免除、役員に支払う業績連動型報酬を損金算入できる企業の範囲の拡大などだ。

だが、実情はというと、東京では引き続き日本の税制が適用され、その税率は香港やシンガポールに比べると高い。たとえば日本の個人所得税の最高税率は55%(住民税込み)なのに対して、香港は17%、シンガポールは24%となっている。

マネックスグループ創業者の松本大(おおき)会長は最近、ブルームバーグ・テレビジョンのインタビューで「東京が資産運用ビジネスのハブになるためには、個人の税制を変える必要があると強く思う」と語っている。

もうひとつの問題は、日本では政府が英語の普及に力を入れているにもかかわらず、英語があまり話されないことだ。国際的な金融プロフェッショナルは、英語が普通に通じる環境で働き、生活したいという人がほとんどだろう。
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