【お知らせ】Firefoxでの記事閲覧について

テクノロジー

2024.06.15 18:00

次の「ノルマンディー上陸作戦」にはロボットが登場? 米海軍省の計画

Getty Images

80年が経過した今でも、ノルマンディー上陸作戦の犠牲の大きさを忘れる人はいないだろう。作戦決行日のDデー(1944年6月6日)だけで、4000人以上の連合軍兵士が命を落とした。ドイツ軍が守りを固めていた仏ノルマンディーの海岸での戦いが、いかに激しかったかを物語っている。

しかし今後、上陸作戦は必ずしも人命の犠牲を伴うものではなくなる。米海軍省の野心的な計画では、「群行動する水陸両用無人強襲艇(USAAC:Unmanned Swarming Amphibious Assault Craft)」が海岸に押し寄せる未来を予見している。

水陸両用強襲車両

米軍は第2次世界大戦当時、有名な水陸両用トラクター(LVT)「バッファロー」をはじめとする水陸両用強襲車両を太平洋戦域に配備していたが、Dデーに使用することはなかった。1941年に生産を開始したバッファローは特殊な無限軌道を備え、水上では時速約13km、陸上では時速約40kmで移動できた。

もともと艦船から陸への輸送手段として考案されたものだが、7.62mm機関銃2門を搭載する装甲強襲車両として再設計された。そして、完全武装した兵士20人を乗せ、砲火にさらされる危険な海岸から、より効果的に戦うことができる陸上陣地まで、迅速に部隊を輸送した。

バッファローは第一陣として出撃し、乗組員たちが敵と交戦するあいだに、通常の揚陸艇が戦車や大型車両を含む攻撃部隊を上陸させることを想定していた。

1970年代に入り、バッファローは最大25人が乗り込めてウォータージェットで推進する巨大なLVTP-7に取って代わられた。しかし、ミサイルの登場により水陸両用作戦の危険度は上がった。そして米海兵隊は、危険な上陸作戦ではなく、ヘリコプターで艦船から陸に向かう「立体包囲(垂直包囲)」を朝鮮戦争で初めて試み、そちらに重点を置くようになった。

その後、ミサイルの射程外から強襲部隊を輸送できるティルトローター方式のV-22「オスプレイ」が一部のヘリコプターに取って代わったため、海岸からの上陸作戦はさらに実行される可能性が低くなった。

ACV:Amphibious Combat Vehicle (Getty Images)

ACV:Amphibious Combat Vehicle (Getty Images)

しかし、水陸両用作戦は完全に廃止されたわけではない。長い時を経て、米海兵隊には今年、新しい水陸両用戦闘車両(ACV:Amphibious Combat Vehicle)が配備される予定だ。ACVは装甲が厚く、30mm砲など充実した武装を備えている。

海兵隊は当初、上陸するまでの脆弱性を軽減するため水上での高速航行が可能な車両を求めていたが、初期バージョンは時速10km弱で妥協した。改良版では時速約22.5~26kmが出せるようになる予定だ。

さらに、先述したようなUSAAC(群行動する水陸両用無人強襲艇)が実現すれば、人命を犠牲にすることなく、はるかに迅速な上陸攻撃が可能になる。
次ページ > 実践投入されはじめたロボット兵器

翻訳=米井香織/ガリレオ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事