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2024.06.17 17:45

外国人社員が求めるのは日本語研修よりも相互理解

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日本企業で働く外国人社員の8割以上が、社内での日本語によるコミュニケーションで苦労しているという。多くの外国人を雇っている企業でもさまざまな取り組みをしているが、どうも当人と企業との間には考え方のズレがあるようだ。外国人社員が企業にいちばん求めているものは、日本語研修でないことが調査によってわかった。

外国人材の採用支援サービス「リュウカツ」の運営などを行うオリジネーターは、日本企業で働く外国人社員130人を対象にコミュニケーションに関するアンケート調査を行った。それによると、日本人社員とのコミュニケーションで何らかの悩みがある人は85.4パーセントにのぼった。だが、日本語力自体の悩みは2位で、1位は「日本語ネイティブでないことに対しての配慮が不足している」というものだった。

そのほか、日本特有の文化やビジネスマナーに慣れない、文化の違いを理解してくれない、日本語レベルだけで判断されて本来の能力やスキルを正しく評価してもらえないといった、日本語力というよりは日本人社員との関わり合いが問題になっている場合が多いようだ。

日本人社員とのコミュニケーションについては、「うまく取れている」と「まあまあ取れている」を合わせて全体で9割近くにのぼっているが、外国人社員とのコミュニケーションを円滑にするための取り組みをしている企業とそうでない企業とでは、そこに少々差が生じている。取り組みありの企業では95.3パーセントなのに対して、取り組みなしの企業では791.パーセントだ。また、「うまく取れている」の割合が取り組みありの企業では大幅に増えている点も注目に値する。

だが問題は、その取り組みの内容だ。企業が実施している取り組みの第1位は上司との定期的な面談、2位はビジネスマナー研修、3位が日本語研修となっている。これに対して当の外国人社員が効果的だと思う取り組みは、1位がビジネスマナー研修、2位が上司との定期的な面談、そして3位が、企業のほぼ1割しか実施していない「異文化理解研修」だった。コミュニケーションの悩みでも、文化的な相互理解に関するものが多かった。外国人社員は懸命に日本語の勉強や商習慣の習得に努めているが、彼らが企業に求めているのは、日本人社員の彼らに対する意識の変革だとうかがえる。
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プレスリリース

文 = 金井哲夫

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