GalaxyユーザーにアップルはAIのセキュリティ問題をつきつける

アップルは次のように述べている。「クラウドでのセキュアでプライベートなAI処理は、新しく手強い課題を突きつけていいます。データセンターの強力なAIハードウェアは、大規模で複雑な機械学習モデルを使ってユーザーのリクエストを満たすことができますが、ユーザーのリクエストと付随する個人データに対する暗号化されていないアクセスが必要になります。そのため、エンド・ツー・エンドの暗号化の使用は除外され、これまでのクラウドAIアプリケーションは、それ以前のクラウドセキュリティアプローチを採用せざるを得なかったのです」これにより、クラウドサーバーとその中のデータが攻撃にさらされることになる。そしてアップルは、この全体的なアプローチが、完璧に洗練された敵による攻撃を想定した、レッドチーム演習に似ていることを強調している。

「Private Cloud Computeの脅威モデルには、コンピュートノードへの物理的なアクセスと高度な専門知識を持つ攻撃者の存在が含まれています。つまり、システムのハードウェアセキュリティ特性の一部を破壊し、コンピュートノードで積極的に処理されているデータを抽出するリソースと専門知識を持つ攻撃者が想定されているのです」。これは、民間市場の最上位もしくは国家レベルのセキュリティを意味する。

悪いタイミングだったが、サムスンはアップルのWWDC発表の直前に最新のハイブリッドAIのPRを発表している。「ハイブリッド型AIの採用は、あらゆるニーズを満たす最も実用的で信頼性の高い方法ですが、これによってサムスンが時代の最先端をリードすることとなったのです」と同社は述べている。「業界をリードするパートナー企業とのオープンな提携を通じて、即時応答性とプライバシー保護に優れた『オンデバイスAI』と、多用途に優れた『クラウドベースAI』の両方のメリットを融合させ、ユーザーが日常生活で必要とする様々な機能を提供しています」

しかし、サムスンにとっての厳しい事実は、（少なくとも理論上は）アップルはこのハイブリッドなデバイスとクラウドのバランスをとるという領域をはるかに超えており、エンド・ツー・エンドの暗号化における初期の優位性と同じくらい魅力的な可能性があることだ。また、機密性の高いタスクに生成AIを使うことを従業員に許可する企業にとって、これは新たなパラダイムとなる。

アップルは、「Private Cloud Computeで、アップルはユーザープライバシーへの深いコミットメントを続けます」と述べている。「ステートレスコンピュテーション、強制可能な保証、特権アクセスの排除、ターゲット不可、検証可能な透明性の各種要件を満たす、洗練された技術を備えたPrivate Cloud Computeは、大規模なクラウドAI計算において世界をリードするセキュリティアーキテクチャだと信じています」

これはまた、アップルにライバルに対する新しい市場での主導権を与え、特にサムスンに深刻な選択を迫ることになった。サムスンは、プライベートなオンデバイスと主にオープンなクラウドという提供方法を続けるのか、それともこの新しいギャップを埋めることを検討するのか。アップルは市場を驚かせた。約束どおりに実行すれば、この分野を再定義する可能性がある。グリーンは、「あなたのスマートフォンはポケットの中にあるように見えるかもしれませんが、その一部は2000マイル（約3200キロ）離れたデータセンターにあるのです」という。

今、問題はどのデータセンターを信頼するかだ。特に新しいAI中心のスマートフォンに1000ドル（約15万円）以上を費やすことを検討しているサムスンユーザーにとっては。

（forbes.com 原文）