バイオ

2024.06.14 14:00

薬の開発期間を半分に、「ハイブリッド薬」で躍進するRemepy

Shutterstock.com

Shutterstock.com

イスラエルのバイオテクノロジー分野のスタートアップ、Remepy(レメピー)は、ソフトウェアと医療を組み合わせて「ハイブリッド薬」という新たな市場を開拓することを目指している。多くの場合、病気の治療は薬と非薬理学的介入を組み合わせることでより高い効果が期待できる。レメピーは、「デジタル分子」を使用することで、そのような組み合わせを標準化すると同時に利用しやすくし、さらにパーソナライズ化も推進しようとしている。

デジタル分子とは、デジタル化されたエビデンスに基づく治療介入であり、生理学的効果を引き起こして、従来の薬剤の効果を高めることが知られている。

レメピーの共同創業者でCEOのミハエル・ツァーは、同社のハイブリッド・アプローチについて、「免疫療法で起きたような非常に大きな革命だ」と述べている。「免疫療法は、免疫の力を利用して腫瘍を攻撃することで製薬の世界を変えた。我々は、デジタルツールを使って脳を活用し、薬との相乗効果をもたらす生理学的効果を引き出している」とツァーは説明する。

レメピーは先月、シードラウンドで1000万ドル(約15億6000万円)を調達した。これにより、同社の累計調達額は1500万ドル(約23億5000万円)に達した。今回のラウンドはNFXが主導し、Vine VenturesやPsyMed Ventures、Supernode Ventures、Firstime Venturesのほか、プレシードラウンドで出資したTechAvivやFresh.fund、Samsung Next、StageNext Fund、97212 Venturesも参加した。

レメピーはまた、メルクでR&Dのグローバル責任者兼チーフ・メディカル・オフィサーを務めるダニー・バー・ゾハールと、イスラエルの元首相であるナフタリ・ベネットが取締役に就任したことを発表した。

連続起業家として知られるツァーは、1999年にベネットらと不正防止ソリューションのパイオニアであるCyotaを設立し、2005年に1億4500万ドル(約227億円)でRSAに売却した。彼女はその後、オープンソースの動画プラットフォームKalturaを共同創業した。同社は、2021年にIPOを果たした際、評価額が12億4000万ドル(約1944億円)に達した。ツァーは、その1年後にオル・ショーバルとアミール・アメディ教授とともにレメピーを創業した。

アメディ教授は、イスラエルのライマン大学にあるThe Baruch Ivcher Institute for Brain, Cognition & TechnologyとThe Ruth and Meir Rosental Brain Imaging Centerの創設ディレクターで、同大の心理学部教授だ。これらの研究所は、基礎的な神経科学から得られた知見をもとに、医療成果を向上させる技術の開発を目指している。
次ページ > 薬の開発期間を半分に短縮

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事