ウェスリー・チャン(FPVベンチャーズ)
ワイオミング州ジャクソンホールを拠点とするウェスリー・チャン(45)は、他のミダスリストのメンバーと異なる道のりをたどってきた。香港から米国に移住した両親の下に生まれた彼は、10代の頃、家計を助けるために生物学の実験室で皿洗いのアルバイトをしていた。チャンは、2001年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で修士号を取得後、グーグルの初期社員となり、Google AnalyticsやGoogle Voiceなどの主要製品の開発に携わった後、2009年にグーグルの投資会社のGoogle Ventures(現GV)に参画。2022年に、自身でFPVベンチャーズを共同創業した。チャンは、グーグルで14年間勤務した経験から、消費者向けテクノロジーのスタートアップへの投資に重点的に取り組んでいる。彼の投資先には、企業価値が260億ドルのオーストラリアのデザインツール会社Canva(キャンバ)や、2018年にアマゾンが10億ドルで買収したスマートドアベルメーカーのRing(リング)、時価総額が172億ドルの株式取引アプリRobinhood(ロビンフッド)などが含まれている。
アナベル・ユー・ロン(BAIキャピタル)
ドイツのメディア複合企業ベルテルスマンのアジア投資部門であるBAIキャピタルの創設者アナベル・ユー・ロン(51)もニューカマーだ。中国出身の彼女は、四川省のローカル放送局でキャスターとしてのキャリアを始動し、スタンフォード大学のビジネススクールに在学中に多くの起業家と接したことから、ベンチャー投資の世界に入ったと述べている。BAIキャピタルは、30億ドル以上の資産を運用し、これまで少なくとも18社の新規株式公開(IPO)を手がけ、40社以上のユニコーンを支援してきた。同社は、動画ストリーミングアプリのBigoやマッチングアプリのTanTan、食料品アプリのDingdong Freshなどのアジアのスタートアップにも投資している。
北京を拠点とするロンは、ミダスリストに新たな視点を持ち込んでいる。テクノロジー業界で今最も話題となっているニュースのいくつかには、中国が関係している。バイデン政権はAIチップの中国への輸出規制を実施し、バイトダンスのTikTokの禁止につながる法律を成立させた。
ロンはフォーブスに「これは私たちが直面している現実です」と語り、中国企業にとっては、今がAIやハードウェアの進歩を実現する「真のチャンス」でもあると付け加えた。