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2024.06.12 11:30

アップル、時価総額500兆円突破 「生成AI」導入に市場は好感

アップルのティム・クックCEO(Justin Sullivan/Getty Images)

アップルの株価は米国時間6月11日、投資家が同社の待望の生成AI関連の取り組みの発表を歓迎したことを受けて、史上最高値を更新した。

アップルの株価は11日の日中の取引で7%以上上昇し、終値はこれまでの最高値を8ドル上回る207ドルに達した。同社の株価は、2020年の株式分割後で初めて200ドルを突破した。

これにより、アップルの時価総額は、約2150億ドル増加して3兆2000億ドル(約503兆円)に達した。

この株価の上昇は、10日から始まった開発者会議で、同社が今年後半にiPhoneやその他のデバイスにさまざまなAI機能を導入すると発表したことを受けてのものだ。アップルの最も注目すべき発表は、OpenAIの大人気のAIチャットボットChatGPTをiPhoneのアプリケーションに直接連携することだった。

11日の株価の急騰でアップルの時価総額は、世界一位のマイクロソフトに次ぐ2位に浮上し、その差を500億ドル未満に縮めた。同社の時価総額は現在、3位のエヌビディアを約2000億ドル上回っている。

JPモルガンのサミク・チャタジー率いるアナリストは、顧客向けメモで、「アップルのWWDCの基調講演は、今秋のiPhone 16の発売とiOS 18のリリースにより、期待通りの買い替えサイクルが実現することを確信させるために十分な内容だった」と述べている。FactSetがまとめたアナリストの予想によると、今四半期のiPhoneの販売台数は2020年以降の最低水準に落ち込む見通しであり、アップルは、iPhoneの販売台数を再び増加させる必要がある。

アップルは10日、「Apple Intelligence」と呼ばれる待望の包括的な生成AI製品群をついに発表した。同社は、iPhoneの音声アシスタントSiriとメッセージングアプリの次期アップグレードを発表し、そのすべてにOpenAIの技術も採用すると発表した。

アップルは、AI分野でグーグルの親会社のアルファベットやフェイスブックの親会社メタらと競合している。メタは、独自の大規模言語モデル(LLM)でOpenAIと競合している。マイクロソフトはOpenAIに数十億ドルを出資している。

「アップルは、他のハイテク大手のように汎用人工知能(AGI)を追求する必要がない。同社は、この分野をメタやOpenAIなどに任せておくことで数十億ドルを節約できる」とローゼンブラットのアナリストのバートン・クロケットは述べている。
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forbes.com 原文

編集=上田裕資

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