スタートアップ

2024.06.20 14:45

マネジメントの新ハック「優先事項のメンタルマップ」

こうした事態をなるべく避けるためにCoralで始めた取り組みの1つが、以前にもご紹介した「Management Memo」です。現在の経営課題や戦略的方向性、注力するべき課題などについて私が考えていることをManagement Memoに書き、社内に発信することで、コンテキストを共有できるのです。私がこれまで試した中で最も効果的なマネジメント・ハックの1つですので、ぜひお勧めします。とはいえ、この方法にも弱点があることが最近わかってきました。詳細に書けば書くほど、簡潔に伝えることが難しくなってしまうのです。例えば、Management Memoで「第1四半期の最優先事項は4号ファンドをクローズすること」と説明したとします(実際にそうでした!)。しかしこれだけでは、第2四半期以降には採用など、他の優先事項にも注力する予定であることが十分に伝わらないかもしれません(ちなみに、現在採用中です!)。かといって、私の頭の中の考えを細部に至るまで網羅したManagement Memoを書くことは非現実的であり、余計に伝わりにくくなるでしょう。そこで、「なにを最優先事項とするべきか」に加え、「他の課題も念頭に置いているが、その上で今は最も重要度と緊急性が高い課題にまずは集中するべきだと考えている」ということを、ポイントを押さえてストレートに伝える方法が必要でした。

そこで私が取った解決策は、私の頭の中にある課題を「重要度」と「緊急性」の軸に整理し、可視化した「優先順位マインドマップ」を作成することです。マインドマップに変化があった場合に、チームミーティングで共有するようにしています。私の頭の中の考えが一目でわかる「スナップショット」を提供できるだけでなく、これをチームに見せてフィードバックをもらうことで、自分が正しいことにフォーカスしているかどうかの確認にもなります(参考までに、機密情報を取り除いた4月3日時点のマインドマップを以下にお見せします)。

このアプローチを始めてからまだ日が浅いですが、早くも良い結果が出はじめています。まず、Management Memoと同様に、マインドマップの作成と更新が、自分の時間の使い方について考え直す機会になっています。また、何に取り組むべきかを決める際に、それが「緊急かつ重要」かどうかについて、チームメンバーの間で話し合われることが増えました。将来的には、このようにコンテキストを提供するだけで、明確な指示がなくてもチームメンバーがそれぞれ自発的に行動を起こせるようになることを期待しています。

Coral Capitalでは、投資先企業に対して「ハンズオン」でも「ハンズオフ」でもなく、「ハンズイフ」のスタンスで支援する方針を以前から掲げています。私は、マネジメントに関してもこの「ハンズイフ」のアプローチが理想的であると考えています。リーダーの役割は、コンテキストを用意し、提案やフィードバックを提供すること、そして最終的には社員が自ら意思決定できるように十分な裁量(と責任)を与えることです。Netflixのカルチャー紹介にあるように、「全社員それぞれが自分で決定を下し、その決定に責任を持ってこそ、Netflix(Coral)が最も効果的かつイノベーティブに機能する組織となるのです」。

P.S. 私の「優先順位マインドマップ」からわかるように、Coral Capitalは現在採用中です!ご応募はこちらから。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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