テクノロジー

2024.06.15 13:30

根づき始めたメタバース。経済圏をけん引する意外なプレイヤー

メタバースやVRはただのバズワードではなくなった。新経済圏が日本でも拡大し、根づくかたちで成長を遂げている。マクアケ創業者による好評連載第42回。


「メタバース」をめぐる経済圏が、一周回って最近また加速し始めている。FacebookがMetaに社名変更した2021年ごろは毎日のようにVRやメタバースという言葉をメディアやニュースで目にしたものだったが、ここしばらくはそのようなかたちや熱量での話題にはなっていないように思う。しかし、一種のバズワードだと思われていたメタバースやVRは、気がつけばその谷を越えつつある。

国内外ではさまざまなメタバース空間が生まれてきたが、近年ではVRChatの伸びが著しい。月間ユーザー数は全世界で350万人、同時アクセス数が平均6万〜8万人という規模ではあるが、この5年で7倍前後伸びている。メタバースの話題がピークだったころからはしばらく数字も下降していたのだが、その後また顕著な成長期に入った。話題先行ではなく、根づくかたちで成長している点で、明らかにこれまでとは潮目が変わったと言えるだろう。

VRChatは、日本のユーザー数がジワジワと伸びているのも特徴だ。アクセストップは1位が30%強でサービスが生まれた米国だが、2位が12.9%で日本となっている。

今年のはじめにピクシブ社が発表した「BOOTH3Dモデルカテゴリ取引白書2024」を目にして驚いたことがある。同社が運営するマーケットプレイス「BOOTH」内における3Dモデルキャラクターや衣装、アイテムなどの年間流通額が30億円を超え、この5年で10倍になっているというのだ。そして、そのほとんどがVRChatで使われることを想定したものであり、このVRChatのユーザー数や流通額の伸びと比例するかのように成長していた。ここについに日本でも経済圏が確立し始めたのだ。

VRChat内で使える3Dのアバターキャラクターを制作・販売する「こまど」や「キュビ」などのクリエイターも多くの支持を集め、大きく売り上げている。同時に、そのアバターに着せる服やアクセサリーや髪形などのファッションアイテムを手がけるクリエイターも増え、そこでも「Vagrant」や「EXTENSION CLOTHING」などの人気ブランドが誕生した。
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文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年7月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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