その中には、TikTokと同じくらい人気があるにもかかわらず、ほとんど注目されていない人工知能(AI)を用いた動画編集アプリのCapCut(キャップカット)が含まれている。
バイデン大統領が4月に署名した法案は、バイトダンスやTikTokおよび「外国の敵対勢力」によって所有または支配されている事業体が、9カ月以内に米国人オーナーに米国事業を売却しない限り、それらの事業体が運営するアプリを禁止するものだ。この法律の目的は、TikTokが米国人の監視や機密データへのアクセス、閲覧内容への影響、発言内容の操作などに悪用される可能性があるという国家安全保障上の懸念を解消することだ。
しかし、この法律は、TikTok以外のバイトダンスのアプリにも適用される可能性がある。
CapCutは、そのようなアプリの中で最大のもので、人々は動画の編集や、オンラインに投稿したり友人に送信する前に携帯電話でミームを作成するためにこのアプリを使用している。CapCutは、バイトダンスのアプリの中でTikTokに次ぐ人気を誇り、昨年、世界中で5億人が使用した。
アプリ分析会社のData.aiによると、米国でのダウンロード数はTikTokが4500万件であるのに対し、CapCutは4470万件と、ごくわずかな差になっている。
CapCutは、2020年に米国でリリースされて以来、アップルとグーグルの米国アプリストアで着実に順位を上げており、Data.aiによると、2023年にはゲーム以外のアプリで3番目に多くダウンロードされていた。また、1位はショッピングアプリのTemuで、2位はTikTokであり、上位3位を中国のアプリが独占していた。
TikTokと同様の懸念
動画編集アプリであるCapCutは、TikTokとは違いコンテンツに関わる各種の問題が起きることはない。しかし、それでもCapCutが収集する膨大な個人データの価値や、このアプリがバイトダンスの中国人幹部の監督下にあることを考慮すると、TikTokと同様の懸念を持つべきだという声も上がっている。CapCutがユーザーの容姿や位置情報などの機密情報を違法に盗み、利益を得ているとして集団訴訟を起こした、法律事務所Hagens Berman Sobol Shapiroのジニー・エヴァンスは、「バイトダンスは米国でTikTokを運営するための米国法人を持っているが、CapCutにはそのような法人は存在しない。バイトダンスが中国で直接運営している」と述べている。
「TikTokの場合と同様に、中国の法律では中国企業が保有するすべてのデータを中国政府に提供することが義務付けられている。しかし、そのことはCapCutのプライバシーポリシーで開示されていない」と、エヴァンスらは主張している。