ビジネス

2024.06.11 15:15

出社する意義と、「支持者」の価値 BoxノッテボーンCOOの「仕事論」

──エグゼクティブになるまでの過程で役立った仕組みや助言など、他の働く女性たちの力になりそうなものはあったりしませんか?

ノッテボーン:誰もが、最後は自分なりの道を見つけるのだと思います。敢えていえば、素晴らしいメンターを見つけること、そしてより重要なのは、自分を支持してくれる味方を見つけることでしょうか。これはよく言われることで研究もされてきましたが、私自身、本当にそうだと実感しています。私のキャリアを通じて、そのような人たちが男性にも女性にもいました。

ただ、その味方からの信頼は勝ち取ったものでもあります。まずは自分自身、その価値があることを証明しなければなりませんでしたし、周りの人たちの役に立つことを示さなければいけませんでした。懸命に働き、プロジェクトを成功させる──。それもしっかりと成功させることが大事です。

──ショートカットはない、と。

ノッテボーン:ええ、いきなり誰かの家のドアをノックして「こんにちは! 初めてお会いしますが、私のメンターになっていただけませんか?」というわけにはいきません。実際、私も初対面で「メンターになってほしい」と頼まれて困ってしまったことがあります。悪気がないのはわかっているのですが……。

──メンターになってほしい相手の信頼を勝ち取ることから始めなければならない、ということですね。

ノッテボーン:ええ、まずは信頼関係を築かなくてはいけません。それも、単に信頼を勝ち取るだけでなく、その人が自分の「支持者(Advocate)」になってくれるよう、ある程度の仕事ぶりを見せる必要があります。支持者は、メンターとは異なります。メンターが助言をくれるだけなのに対し、支持者とは「この人は次のレベルに進む用意ができている」「この人ならチームや、仕事を任せられる」というように、あなたのために立ち上がってくれる人のことです。支持者たちは、私にとっていつだって大切な存在です。

もう一つ、ビジネスの世界にあって私の強力な味方であり続けてくれたのが、スタンフォード大学経営大学院(スタンフォード・ビジネス・スクール)のMBA時代に加わった「Women in Management(ウィメン・イン・マネジメント)」というコミュニティです。入る、入らないは個人の自由ですが、6人の女性で一つのグループを作り、ファシリテーターを付けてミーティングをしていました。当時は隔週だったと思います。そこでは好きな話題を取り上げて大丈夫でしたが、必然的にビジネスの話になりました。働く女性なら誰もが直面する悩みごとなどについてですね。2004年に2年間のMBAプログラムを修了すると、3つのグループが統合されました。最終的に、私たちは12人の女性グループになって今も月に1回は集まっています。20年間、ずっとですね。

私たちはみんなで、いろいろな経験を積み重ねてきました。昇進した人、クビになった人、望んでいた仕事に就けなかった人、取締役になった人、取締役会に更迭された人、CEOになった人、起業した人、創業した会社を上場させた人。それに給与交渉だったり、上司に昇進を訴えたり……。この12人の仲間を通して、すべてとは言わないまでも、ビジネスにおける相当量のシチュエーションを経験してきた気がします。私たちにとって心の拠り所になっているのです。

文 = 井関庸介

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