テクノロジー

2024.06.11 10:00

元グーグルCEOの「軍用ドローン会社」、テック大手の大物を引き抜き開発を進める

さらに、スランが設立した現在は休止中の電動垂直離着陸(eVTOL)機のスタートアップ、Kitty Hawk(キティーホーク)に勤務していたダモン・ヴァンダー・リンドも、ホワイト・ストークの上級顧問として、元スペースXの宇宙レーザーエンジニアと協力しているほか、元グーグルの調達・サプライチェーン担当副社長のマーク・ストニックや、シュミットが支援する防衛系スタートアップ、Istari Digital(イスタリ・デジタル)の創業者で国防総省の国防イノベーション委員会の委員でもあるウィル・ローパーも同社に加わっている。

これらのメンバーは、昨年夏にキーウで開催された会合にシュミットとスランとともに参加していた。その会合には、ウクライナの第一副首相のユリア・スヴィリデンコも出席していた。

シュミットが考える「現代の戦争」

しかし、シュミットは、キーウへの度重なる公式訪問にもかかわらず、軍事ドローンプロジェクトを秘密裏に進めようとしている。フォーブスが1月にホワイト・ストークの計画を報じた直後に、このスタートアップは「プロジェクト・イーグル」と改名したと3人の情報筋が語った。

ロシアが2022年にウクライナに侵攻して以来、シュミットは、自らを紛争の専門家に位置づけ、「ネットワーク戦争」の新時代について、いくつかの論説を発表した。昨年7月のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で彼は、「カミカゼドローン」と呼ばれる、ターゲットを待ち伏せして破壊する滞空型兵器が「戦争のあり方を一変させる」という強気な予測を立てていた。

「AIを搭載したカミカゼドローンが、ムクドリの大群のように移動目標を追跡し、アルゴリズムで連携して敵の対抗手段を突破して攻撃するだろう」と彼は書いていた。

しかし、その約3カ月後の9月末にシュミットがタイム誌に寄せた文章を読むと、彼の楽観的な見方は、ウクライナの前線の過酷な現実によってやや修正されたように思える。

「ロシアの地上部隊は、頭上をドローンが飛び回る中で、数キロ離れた場所にいる(ウクライナの)見えないパイロットに常に監視されていることを知っている。そして、そのパイロットたちもまた、敵が自分たちを見ている可能性があることを知っている」と彼は書いている。

シュミットは、その文章に続いて、『深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いている』という哲学者のニーチェの言葉を引用し、「このような露出と死をもたらす覗き見の感覚がウクライナ全土に蔓延している」と述べていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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