ネトフリ『実話ストーカードラマ』に270億円の名誉毀損訴訟

(写真左から)ナヴァ・マウ、リチャード・ガッド、ジェシカ・ガニング(John Nacion/Getty Images)

(写真左から)ナヴァ・マウ、リチャード・ガッド、ジェシカ・ガニング(John Nacion/Getty Images)

ネットフリックスで世界的人気を博したドラマ『私のトナカイちゃん』で描かれた実在の女性が、ネットフリックスを相手取る訴訟を起こし、名誉毀損や精神的苦痛を理由に、少なくとも1億7000万ドル(約266億円)の損害賠償を求めている。

このドラマで女性ストーカーとして描かれるフィオナ・ハーヴェイは、ネットフリックスが「実話を基にした」と謳うこの作品が、「テレビ史上最大の嘘」であり、「欲と名声への渇望」から製作されたと主張している。

ドラマの中でハーヴェイは、2度のストーカー行為で有罪判決を受け、実刑を宣告され、番組のクリエイターで主役を務めたリチャード・ガッドに性的暴行を加えたと描かれているが、彼女はこれがすべて「まったくの嘘」だと主張している。また、ネットフリックスが「ガットの発言の真偽を判断する上で、妥当な注意を払わなかった」とも述べている。

ハーヴェイは、自身が有罪判決を受けたこともなければ、犯罪を認めたことも、刑務所に入ったこともないと述べている。また、ガッドに性的暴行を加えたことも、性的関係を持ったことも、警察官をストーカー行為で襲ったこともないと主張している。

カリフォルニア州の連邦地方裁判所に提出された訴状でハーヴェイは、ドラマ内で「マーサ」と呼ばれる女性ストーカーのモデルが彼女であることを特定した人々から侮辱され、精神的苦痛を受けたと述べている。

ハーヴェイは、実損害として少なくとも5000万ドル、補償的損害賠償として5000万ドル、番組のすべての利益として5000万ドル、懲罰的損害賠償として2000万ドルを求めている。

ネットフリックスの広報担当のエイドリアン・ザモラはフォーブスに対し、同社が「この訴訟に全力で抗弁し、リチャード・ガッドが自身のストーリーを語る権利を守る」意向であると語った。

フォーブスは、この訴訟の被告にリストされていないガッドにコメントを求めている。

『私のトナカイちゃん』の累計視聴回数は、5月8日時点で5600万回に達していた。

ネットフリックスが4月に配信を開始したこのドラマは、全7話のシリーズで、ガッドが数年前にストーカー被害と性的暴行を受けた経験をもとにした作品だ。このシリーズは、ネットフリックスの週間テレビチャートの5位に初登場し、その後3週間1位をキープした。

番組のファンは、マーサのモデルが誰であるのかを特定する作業に夢中になり、間もなくハーヴェイが特定された。訴状では、その手がかりの1つが、ハーヴェイとガッドが交わした検索可能なソーシャルメディア上のやり取りだったとされている。ハーヴェイは5月初旬に沈黙を破り、英国の人気司会者ピアーズ・モーガンのトークショー『Piers Morgan Uncensored』に出演し、ネットフリックスやドラマの制作者を批判した。

『私のトナカイちゃん』は、5月27日から6月2日までのネットフリックスのグローバルTOP10で10位に入り、1週間の視聴回数は280万回に達していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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