欧州

2024.06.10 11:30

戦場のチキンレース ロシア軍のBTR-82とウクライナ軍のM2が劇的な接近戦

ただ、ロシアはウクライナ側より大きな人的損害に持ちこたえることができる。「ロシアは予備の兵力が膨大なので、常軌を逸した損失を出してもすぐに補充し、新たな兵士を次から次に戦闘に投入しています」と第47旅団は言及している。

2000人規模の同旅団は、対峙しているロシア軍部隊の兵力をざっと3倍と見積もっている。注目すべきは、ロシア軍の損害はウクライナ側の7〜8倍にのぼっていることだ。つまり、損害はロシア側に著しく偏っている。

今回の映像を含め、アウジーウカとポクロウシクの間の戦場を撮影したいくつかのドローン映像は、この偏った損耗率を示す証拠とみることもできるかもしれない。

たとえば、5月上旬に撮影されたある映像では、やはりブラッドレーの乗員が、歩兵を乗せたMT-LBが近づいてくるのに気づき、射撃を加えていた。このMT-LBは歩兵を降ろした直後にブラッドレーから25mm弾を浴びせかけられ、破壊されている。ウクライナ国防省は「M2ブラッドレーがお手本を見せました」と戦果を誇っている

1カ月ほどあとの映像でも似たようなことが起きている。対ドローンのケージ装甲に身を隠した計20〜30人の歩兵を乗せた2両のBTR-82が、アウジーウカ郊外のウクライナ側の防御線に向けて進んでくる。ウクライナ軍のM2は待ち伏せ攻撃に有利な地点に陣取り、BTR-82が隠れるもののない開けた場所まで来ると射撃を始め、これらの車両と歩兵らを粉砕している。

ロシアがウクライナで拡大して2年4カ月目に入った戦争が進むにつれて、こうした小競り合いは今後も繰り返されるだろう。第47旅団は「戦闘は一瞬たりともやむことがありません」と戦場の厳しさを伝えている。

そして、同様の結果が繰り返されることになるだろう。ウクライナ軍は米国から以前に受け取った200両かそこらのM2のうち数十両を失ったが、新たに供与された100両あまりでそれを補いつつある。

一方のロシア軍は、装甲車両の損失があまりに多いため補充が追いつかず、一部の突撃部隊にゴルフカートのような全地形対応車オートバイを配備するほど窮状が深まっている。

防護の薄いこうした民生車両がM2と直接交戦した場合、MT-LBやBTR以上にひどい結果が待っていることは言うまでもない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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