つい先日、ウクライナ軍のドローン(無人機)から撮影された映像には、ロシア軍の突撃バイクの一台が、ドローン対策用に取り付けたケージ(鳥かご)装甲に粗雑な偽装を施した姿で登場している。
Video of a Ukrainian FPV strike on a Russian motorcycle with a tarp. https://t.co/CmYCEsGhab pic.twitter.com/4oOZtqztVL
— Rob Lee (@RALee85) June 7, 2024
この「子亀バイク」は、ロシアがウクライナで拡大して2年4カ月目に入る戦争の1000kmにおよぶ前線のどこかで、白昼、未舗装路をのこのこと走ってきたところを、ウクライナ側のドローンに見つかった。その時点で、結果はほぼ見えていた。ウクライナ軍のFPV(一人称視点)ドローン攻撃チーム「アパチ」の自爆ドローンがバイクに後方からバイクに迫っていき、突っ込んで爆破した。
ライダーには(あるいはサイドカーなどに別の兵士も乗っていたとすればその同乗者も)、近づいてくるドローンがまったく見えていなかったのかもしれない。ロシア側が戦場バイクに付け足すようになっている金属製ケージはかさばるので、そのままでも視界はかなり妨げられる。ケージが偽装で覆われていればなおさらだ。
ウクライナで歩兵の輸送に使う装甲車両も何千両と失っているロシア軍は、代用品として安価な中国製の全地形対応車(ATV)、通称「ゴルフカート」や、ベラルーシ製や中国製のダートバイクを買いあさり始めた。
たしかに軽量の4輪車や2輪車は、第一次世界大戦から戦場で使われてきた歴史がある。とはいえ、こうした脆い車両が直接の戦闘で使用されることはめったになく、前線から十分離れた後方での支援任務に用いられるのが普通だ。
第一次大戦中や続く戦間期にいくつかの国の軍隊は突撃用の装甲オートバイも試しているが、使い勝手が悪いことがわかった。装甲を足せばバイクの強みであるスピードや機動力が損なわれてしまうし、そもそも付けたところでより大型の装輪車両や装軌車両の場合ほどの防護は期待できない。要するに、軍用車両としては中途半端な存在だった。
それでも第一次大戦中、ドイツ軍は一部の部隊にオートバイを配備し、連合国軍の陣地を攻撃させている。筋の悪いアイデアを実戦で試してみたわけだ。イタリアのオートバイ用品メーカー、エンズ・クオイオの記事によると、結果は「かなり悲惨なもの」だった。「言うまでもなく、オートバイを直接の戦闘に投入するというアイデアは放棄されることになりました」