「イレブン・マディソン・パーク」のダニエル・フムは、自身のプラントベースのアプローチについて述べた上で、シェフを画家に例え「もし、緑よりも赤い色の方が高価だったとしても、高価だから赤色を絵に使いたいと思うわけではないでしょう? 野菜よりも肉の方が高価だから価値がある、というような、食材を価格というヒエラルキーで捉えることはやめるべき」と語った。
日本でもペルーの風土を表現した「マス」が注目を集めているが、その母体となる「セントラル」で研究開発を担当、マレーナ・マルティネスは、ペルーの生物多様性について語り、チョコレートを作る際に、カカオの実全体の15%しか食用に使わないことから、残りの部分の有効活用について考えたり、新しいものに目を奪われがちななかで、インカ時代以前から伝わる食材の保存法など自分たちのアイデンティティを保ち続けることが大切だと訴えた。
人は夢を見る生き物だ。ファインダイニングは、平和で文化的、豊かな暮らしがあるからこそ成り立つもの。若い世代も、ファインダイニングという夢が見続けられる未来に向けて。ラスベガスから発信されたメッセージには、そんな未来への明るい希望が込められているように見えた。
BEST 50に日本のレストランは3軒
日本のレストランは、15位の「セザン」と21位の「フロリレージュ」が共にランキングを上げ、32位に「傳」がランクイン。51~100位のリストには、56位に「ナリサワ」、66位に「ラシーム」、93位に「茶禅華」が入っていた。2024年度「世界のベストレストラン50」、上位50軒のリストは以下の通り。
1. Disfrutar | Barcelona
2. Asador Etxebarri | Atxondo
3. Table by Bruno Verjus | Paris
4. Diverxo | Madrid
5. Maido | Lima
6. Atomix | New York
7. Quintonil | Mexico City
8. Alchemist | Copenhagen
9. Gaggan | Bangkok
10. Don Julio | Buenos Aires