カルチャー

2024.09.06 14:15

米国「konbini」研究者が心酔した日本コンビニの魅力、オーナーの悲哀

Bread and Butter Productions / Getty Images

進む「スクラップアンドビルド」、新規出店数を上回る閉店数

日本のコンビニ産業は厳しく強化されつつある。
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20年前には40あった主要なコンビニチェーンは20に減少した。このうち、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3つのチェーンが店舗数は全体の7割、売上ではコンビニ業界の8割を占めている。

こうした寡占状態により、新規店オープンにあたって同等の店舗を閉店するという、いわゆる「スクラップアンドビルド」の時代が到来した。ベテランのフランチャイズ店主は高齢化し、店がうまくいっていても契約更新に消極的だ。

現在、業界全体で閉店数は、新規出店数を上回っている。
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2011年、日本のトップ5チェーンは、3610店舗を新たにオープンさせ、既存の2130店舗を閉鎖した。その翌年は、2870店が新規オープンし、1354店が閉店している。

熾烈な競争と薄利多売により、コンビニは1店舗の経営はもちろん、2店も3店も経営するのは非常に難しい。

にもかかわらず、チェーン店はこの方針を推進している。多くのコンビニチェーンが、かつてオーナー契約に課していた年齢制限を引き上げ、撤廃した。また、チェーン本部は、脱サラ、移民、自衛隊出身者など、新たなフランチャイズ加盟希望者を開拓している。日本のセブン-イレブン・オーナーの平均年齢は50代半ばで、セブンイレブンとフランチャイズ契約をしている人々の35%が現在2店舗以上を経営している。

閉店後の風景もさまざま──

10年以上にわたって撮影されたコンビニエンスストアのスナップ写真は、「現在」何が起きているのかと、これらの店舗が閉鎖された「後に」何が起きるのかを示す視覚的な手がかりともいえる。

コンビニエンス・ストアは、鍵のかかったドアに張り紙がされているだけで、ほとんど何の前触れもなく、すぐに閉店することがほとんどだ。

地元住民や通りすがりの人々は、何が起こったのか、そして次にその地で何が起こるのか考えることだろう。場合によっては、店舗は「リニューアル」され、姿を変えた「高級バージョン」として再ブランド化されたりもする。

チェーン店が苦境に陥っている場合、最終的に大きな競争相手の拡大戦略に屈し、ローソンやファミリーマートに姿を変えるかもしれない。

立地の悪い店舗は、おそらく見捨てられることとなる。代わりにファストフード店やカフェが出店することとなるかもしれない。時にはコンビニを経営していた建物が完全に取り壊されることもある。

残された空き地は、時間貸し駐車場や仮設のマンション・ショールームとして使われたりもする。オーナーが、可能性のある選択肢をさまざまに検討する間の収入源ともなるだろう。



ギャヴィン・H・ホワイトロー博士(Gavin H. Whitelaw, Ph.D.) ◎ハーバード大学ライシャワー日本研究所 エクゼクティブ・ディレクター。前・国際基督教大学教養学部 上級准教授。専門は文化人類学・民俗学・地域研究・日本研究。

『トーキョー・トーテム 主観的東京ガイド/Tokyo Totem – A Guide to Tokyo』(2015年、フリックスタジオ刊)

『トーキョー・トーテム 主観的東京ガイド/Tokyo Totem – A Guide to Tokyo』(2015年、フリックスタジオ刊)

翻訳=大石月子 編集=石井節子

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