この動きは、AI分野におけるハイテク大手の支配力を監視する当局の取り組みの最新のものだ。
昨年40億ドル(約6000億円)の評価を受けたインフレクションAIの共同創設者でCEOのムスタファ・スレイマンは、3月に同社の従業員70名近くとともにマイクロソフトに入社した。
スレイマンらの移籍は、マイクロソフトがインフレクションAIに6億5000万ドルを支払い、同社のAIモデルをライセンスできるようにするという合意の一部だった。しかし、この契約でマイクロソフトはインフレクションAIの株式を取得することも、知的財産を入手することもなかったため、当局への報告義務を回避したとの見方も上がっていた。
WSJは、この件に詳しい匿名の情報筋を引用して、FTC がこの取引がどのように交渉されたかの詳細を探るために、マイクロソフトとインフレクションAIの両社に最大2年にさかのぼる書類の提出を求める召喚状を送ったと報じている。
FTCは、マイクロソフトが当局の審査を意図的に回避して、インフレクションAIを支配できるようにこの取引を画策したかどうかについても調査していると、WSJは述べている。フォーブスは、マイクロソフトとインフレクションAIの両社にコメントを求めている。
審査の結果、マイクロソフトが取引の審査を求める必要があったと判断された場合、FTCはマイクロソフトに罰金を科し、完全な審査が完了するまで取引を阻止するよう裁判所に求める可能性がある。
一方、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は5日夜、各規制当局がマイクロソフトやOpenAI、エヌビディアに対するAI関連の反トラスト法違反の調査を個別に実施することで合意したと報じた。同紙によると、司法省はエヌビディアの反トラスト法の違反行為の有無を調べるため、同社の調査に着手するという。
NYTは、調査の詳細には触れていないが、エヌビディア対する監視は、同社がAIチップ分野でライバル企業をほぼ完全に制圧しているのではないかという、ハイテク業界内の懸念の高まりを受けてのものだとしている。
この報道によると、FTCはマイクロソフトと同社が主要な出資者であるOpenAIに対する調査を主導する。
スレイマンが3月にマイクロソフトに移籍した当時、エア・ストリート・キャピタルの創業者でゼネラルパートナーのネイサン・ベナイッシュはフォーブスに対し、「このような結果は誰も予測していなかったが、驚くべきことではない。規制当局が合併や買収を非常に困難にするのであれば、このような奇妙なエグジットがより一般的になることを覚悟すべきだ」と述べていた。
(forbes.com 原文)