瀬戸内エリア内外の起業家やアトツギをゲストに招き、瀬戸内・中四国特化型ベンチャーキャピタル「Setouchi Startups」の共同代表、藤田圭一郎と山田邦明がVC目線でゲストのビジネスストーリーを深掘りします。
今回は、年々縮小する日本酒業界の中で新たなジャンル「浄酎」をつくり出し、酒蔵や日本酒だけでなく日本酒と密に関係する文化を残すことに挑戦するナオライ(広島県)代表取締役の三宅紘一郎さんをゲストに迎えた回をご紹介。
ベンチャーキャピタルの伝統産業への出資は珍しいですが、その源泉にある思い、新たな挑戦における仲間の増やし方についてお届けします。
衰退する日本酒業界 自分にできることは何か
三宅:ナオライ代表取締役の三宅絃一郎と申します。日本酒の酒蔵再生をテーマに、日本酒から「浄酎」というウイスキーのようなお酒をつくったり、酒蔵再生のための事業をしている会社です。創業9年目になり、「浄酎」というお酒をつくり始めてから4年が経ちました。
酒蔵をなんとかしたいという思いで、最初に手掛けたのがスパークリングのレモン酒でした。レモンと純米大吟醸日本酒で作る度数5度のスパークリング「MIKADO LEMON」をつくって、酒で瀬戸内海の離島を盛り上げることに取り組んでいました。
藤田:そもそも、なぜ日本酒をどうにかしたいと思っていたのでしょうか?
三宅:親戚に日本酒業を営む人がたくさんいて、小さい頃からお酒業界に漠然と興味を持っていました。大学生の頃が転機になっていて、自分の人生で何をしようか考えているときにふと日本酒についていろいろ調べてみると、日本酒業界自体が軒並み右肩下がりだという数字ばかり出てきたんです。その時にスイッチが入り、なんとかしたいなと思うようになりました。
ピークから4分の1に縮小 酒蔵再生のチャレンジ
「セトフラ」の番組制作を手がける8bitNewsの堀潤さんが、三宅さんが「浄酎」を販売する現場にロケへ。大阪の百貨店の催事に自ら立ち、顧客からのさまざまな反応を受けた。三宅:「浄酎」は、広島中から純米酒を集めて低温蒸留という独自技術で蒸留してから樽で寝かせる、まるでウイスキーのようなお酒です。日本酒を蒸留することで40度を超える度数になっているので、ストレートやロック、ソーダやトニック割りなどで飲んでいただけます。
蒸留することで、日本酒原料ではあるものの、常温で置けば置くほど価値が高まるお酒になっています。これによって、ギフトとしてゆっくり飲んでいただいたり、お子さんが生まれた時に20年後に一緒に飲んでくださいという事でプレゼントしたりできるお酒になりました。