グーグル社員1000名、「石油企業からの投資撤退」求める公開書簡に署名

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グーグルは、データセンターやオフィスで使用する電力を、二酸化炭素(CO2)を発生させないカーボンフリーなものに切り替えることで、気候変動対策に貢献しているとアピールしているが、世間ではあまり話題にのぼっておらず、十分な対策を取っていないことに不満を持つ従業員もいる。

その不満は、従業員の給与の一部を拠出金として長期投資にまわす同社の401(k)プランに向けられている。フォーブスが入手した1000人以上のグーグル社員が経営陣に宛てた書簡で、彼らは、投資先にエクソンモービルやシェル、シェブロンといった化石燃料企業を含まないプランの提供を求めている。

このキャンペーンは、グーグルに4年間在籍しているテクニカルライターのサム・アッシャーを含む従業員グループが主導している。この書簡は、6月7日のグーグルの年次株主総会に先立ち公開された。

脱炭素を目指す非政府組織(NGO)のAs You Sowは、株主総会でグーグルに対し、同社が化石燃料への投資がもたらす「将来的なリスクの増大」から加入者をどのように保護しているかを記したレポートの公表を求める提案を行う予定だ。

グーグルの広報担当者のフィオナ・リーは、この書簡についてのコメントを控えたが、同社が事前に株主に配布した書類で、この提案を否決するよう求めていることを明らかにした。そこには、「当社の取締役会は、要求されたレポートがプラン参加者の保護を強化する効果的な手段であるとは考えていません」と記載されている。

従業員らは特に、投資先に化石燃料企業を含まない「ターゲット・デート(目標期日)」型のファンドの提供を求めている。ターゲット・デート型ファンドは、一般的に何十年も先の退職日をターゲットとし、時間の経過にともなう投資リスクを軽減するものだ。グーグルは現在、パルナサス・ファンドという化石燃料企業を含まないオプションを提供しているが、このオプションはターゲット・デート型ではないため、ほとんどの従業員にとって「変動が大きすぎる」とアッシャーは述べている。

経済的利益を守る目的も

グーグル社員が、化石燃料企業への投資からの撤退を求めるのは、サステナビリティの観点のみからではないという。4月に発表された報告書によると、この分野への投資のパフォーマンスの不振によって、社員らは過去10年間で総額11億5000万ドル(約1795億円)もの損失を被ったと推定されており、この分野からの撤退は従業員にとって大きな経済的利益をもたらす可能性があるという。
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編集=上田裕資

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